本研究は、1960年代の米国の北・中西部における黒人の政治社会運動の拠点であったシカゴとデトロイトの文書文献調査を通じ、黒人の運動が、黒人のアメリカ社会認識と自らのアイデンティティを具体的にどのように変化させ、その一方で黒人の動きがいかなる白人市民の行動を導き出し、新たな政治連合が構築されるに至ったのかを解明したものである。最終的に本研究は、1983年ハロルド・ワシントンの市長キャンペーン(シカゴ)に最終的に焦点を合わせ、この選挙運動が、1960年代後半の公民権運動と密接な関係があり、そのような関係性があるからこそ、白人有権者の離反と同市における激しい人種対立を導き出したことを明らかにした。
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