本研究は、、社会調査における質的調査(聞き取り調査)の技法を用いた、中国朝鮮族の跨境生活に関する研究である。国境を含む行政区界の境界を跨いだ生活(跨境生活)には、行政区界ごとに社会保障システムが成り立っていることに起因する不便や不利益が伴う。彼らの跨境生活のありよう、特に彼らが日常的に直面する困難やその解決方法を明らかにすることを通じて、国家や地方自治体のような行政区界内のガバナンスと、そのような行政区界の境界に収まりきらない跨境生活空間におけるガバナンスとのズレを問い、民族ネットワークがその調整のために果たす役割を明らかにする。
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