研究課題
本科研研究プロジェクトでは、アイゼンハワー政権期の原子力平和利用キャンペーン、とくに世界80カ国で上映されたUSIS映画を用いた広報文化外交に焦点を当て、なかでも企業などの非政府主体がそこにどのように関与したのかを明らかにしようとした。3年間の研究期間を通して、アメリカ国立公文書館に所蔵されたUSIS映画のフィルムおよびスクリプト(原稿)、そして各国でUSISが発行した「USIS映画カタログ」を収集・精査し、また関連する公文書を渉猟することにより、USIS映画を用いた原子力平和利用キャンペーンのグローバルな展開がかなりの程度まで明らかになった。その成果は、国内外の学会や研究会で発表するとともに、韓国と日本の学術雑誌に論文として掲載したほか、NHKのETV特集でも取り上げられた。いっぽう、非政府主体のかかわりについては、アメリカ議会のヒアリング記録や日米の原子力産業会議などの業界団体の記録をもとに調査を進めた結果、1950年代アメリカの対外経済援助政策と民間投資、そして原子力平和利用キャンペーンが、互いに不可分な関係で結ばれていたことが分かってきた。しかしながら、個々のUSIS映画の製作過程などにおいて企業などの非政府主体がどのような役割を果たしたかという詳細な事実関係については、資料の壁にはばまれてなかなか明らかにすることができななかった。今後も引き続き取り組んで行きたい課題である。最終年度である2014年度は、この科研テーマに関連する研究報告を、カナダ・韓国・インド・日本の4カ国で行ったほか、韓国・高麗大学の学術雑誌に論文を発表した。また締めくくりとして3月には韓国・アメリカ・日本の研究者を愛媛大学に招いてワークショップを開催した。現在は、アメリカの学術誌に論文の投稿を準備中である。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (2件)
International Journal of Korean History
巻: vol.19 no.2 ページ: 107-135
史創
巻: no. 5 ページ: 52-73
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