本年度は当初の計画通りタイにおける資料収集を2回行い、タイ国立公文書館での資料収集を進めた。8~9月と3月にそれぞれ3~4週間程度の出張を行い、主としてタイ国立公文書館での資料収集を進めた。対象となる軍最高司令部文書はコピーができないことから、資料はすべて持ち込んだパソコンで入力する必要があるが、今年度の主要な作業であった日本軍の軍用列車運行に関する請求書の入力作業も順調に推移し、今年度予定していた作業を終了させた。 また、同所で収集した資料のデータベース化も順調に進めた。本年度はすでに収集を終えた軍用列車運行予定表と物資輸送報告をについて行うこととしており、すでに最低限の分析を行うためのデータベース化は終えているが、これを加工する形でさらなるデータベースの作成を行った。例えば、使用車両の国籍別の両数を集計や、線区ごとの使用車両数や列車本数のデータベースを作成して、多角的な分析を行うための材料を増やしていき、これらを用いて多角的な分析を行ことができるようになった。 国内では、当初予定していた外務省外交資料館や防衛庁防衛研究所での一次資料収集は次年度に回し、今年度は日本兵の回想録やタイ国内に駐屯あるいは通過した部隊の記念集など間接的に関係する二次資料の探索を中心に行った。これは、外務省外交資料館や防衛省防衛研究所に所蔵されている資料のうち、多くのものがアジア歴史資料センターのホームページで閲覧可能であり、実際に両者を訪問して入手すべき資料が予想より少なかったためである。なお、京都大学東南アジア研究所でも関係する資料の所在調査も兼ねて資料探索を行った。
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