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2013 年度 実施状況報告書

米国フレンズ奉仕団の研究ー対日活動と日系人支援活動を中心としてー

研究課題

研究課題/領域番号 24510352
研究機関山梨県立大学

研究代表者

戸田 徹子  山梨県立大学, 国際政策学部, 准教授 (50183877)

キーワード米国フレンズ奉仕団 / AFSC / クエーカー / NGO / 日米関係 / 日米交流 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国
研究概要

1.平成24度実施の米国フレンズ奉仕団(the American Friends Service Committee、以下AFSC)本部資料室における資料所蔵調査に基づき、平成25年度は年度ごとに収集された全資料から日本関係の資料を探し出して、複写する作業を繰り返し、1920年代については概ね資料収集を終えた。内容的には、主として書簡(報告書)とパンフレットであった。
2. AFSC年次報告書とAFSCオーラル資料(日系アメリカ人収容と学生転住)の資料整理を終えた。年次報告書はヨーロッパ中心で、日本やアジアに関する情報はごく少ないことが判明した。オーラル資料は日系アメリカ人7名とAFSC職員4名(白人)のインタビューを取り上げ、スクリプトにした資料である。内容分析の手立てとして、とりあえず日系人については19項目、AFSC職員については17項目の点検項目を設定し、これにそって内容を整理した。次のステップとして、英語と日本語の両言語による報告書の叩き台を準備中である。
3.2人のAFSC職員について、エッセイを書いた。一人はヒュー・ボートン(1903ー1995)。ボートンは1928年から1930年までAFSC職員として日本に駐在し、国際平和活動や日米交流活動に従事した。帰国後は本格的に日本史を学び、コロンビア大学で教鞭をとった。太平洋戦争中は国務省に勤務し、対日占領政策立案に携わった。もう一人はエスター・ローズ(1896-1979)。ローズは駐日宣教師であったが、太平洋戦争期間中はAFSC職員として日系人収容所で日系人救援活動や学生転住活動を展開、戦争後は収容所を出されても行きどころのなかった日系人のためにホステルを開業した。さらに敗戦後の日本でララ救援物資の注文と配給を担った。2人のAFSC職員を、民間セクターによる国際交流や国際援助の先駆者として位置づけ解説した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.本研究に関係する期間(戦間期ならびに戦中)について、AFSC本部資料室の日本関係資料を調査する計画であったが、そのうち1920年代の資料閲覧、資料収集を概ね終了した。平成25年度は2回の海外調査を予定していたが、2回目の調査が実施できず、若干、遅れ気味である。しかしながら1930年代については、平成26年度の海外調査で補う予定である。
2.AFSCの年次報告書やオーラル資料(日系アメリカ人収容と学生転住)などの入手済み資料については、資料整理を完了した。年次報告書はAFSCの基本資料として、利用していくことになる。オーラル資料の方は、希少かつ重要なので、まずは資料紹介をする予定で、報告書作成の準備作業に入った。
3.AFSC本部資料室の日本関係資料が未整備な状況で、本研究の調査収集も時間がかかることが予想されている。このような状況の中で、時系列に沿って公文書を丁寧に点検する作業を継続する一方で、同時進行的に、AFSC関係者に焦点を当て、その業績を通して国際親善や国際理解、国際援助について考える方向性も、平成24年度報告書では指摘した。これを平成25年度は実行に移し、すでに入手済みの資料の中から、ヒュー・ボートンとエスター・ローズについて、日英の両言語でエッセイを書き、平成26年度10月にアメリカで出版される本に掲載予定である。加えて、最初の駐日AFSC代表であるギルバート・ボール関係の資料も入手し、目を通し始めている。

今後の研究の推進方策

1.本研究はもともとAFSCの戦間期の対日活動と太平洋戦争下アメリカにおける日系人支援活動の2つを研究対象としていたが、いま資料発掘に手間取っている現状の下で、残された2年の研究期間は、両者の問題意識を視野に入れつつ、前者に焦点を絞る方向に変更する。具体的にはヒュー・ボートンやギルバート・ボールズなどのAFSC職員を通して、AFSCの国際親善や国際奉仕の内容を明らかにすることを考えている。海外伝道とAFSCのような国際NGO型の海外活動の双方を担った過渡期の人物として、ギルバート・ボールズに改めて注目し、自伝の翻訳も視野に入れたいと思う。
2.1.にもかかわらず、AFSC本部資料室の日本関係資料の点検、収集作業は、当初計画の通り、1930年代ならびに戦中の時期まで含めるものとする。資料室の日本関係資料は極端に少ない年もあり、保存状態あるいは保存記録の選別にむらがあるような気もするが、いずれ1920年代から1940年代半ばまでの資料も時代に沿って調査する。これは本研究「米国フレンズ奉仕団の研究」に必要な基本的作業であり、かつ日本で盛んな日系人研究に今後、資するところが多大だと考えられるからである。
3.AFSCオーラル資料(日系アメリカ人収容と学生転住)は存在自体がまだ知られていないことから、資料紹介の意義は大きい。資料整理を終えたので、報告書としてまとめる予定である。さらにこれに基づき分析作業に入るが、必要に応じて研究協力者を募りたい。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は海外調査を2回実施予定だったが、AFSC本部資料室のアーキビストの都合で2回目の調査が実施できなかったことによる。
AFSC本部資料室での日本関係資料の点検・調査・収集を、平成26年度に実施予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] フィラデルフィアにおける柴四朗2014

    • 著者名/発表者名
      戸田徹子
    • 雑誌名

      山梨国際研究

      巻: 9 ページ: 60-69

    • 査読あり
  • [学会発表] Mary Morris and Her Relationship with Japanese People2013

    • 著者名/発表者名
      Tetsuko Toda
    • 学会等名
      Mid-Atlantic Region Association for Asian Studies
    • 発表場所
      University of Delaware, Newark, DE, USA
    • 年月日
      20131103-20131103
  • [図書] Phila-Nipponica: A Historic Guide to Philadelphia and Japan2014

    • 著者名/発表者名
      Tetsuko Toda, Linda Chance et al. ed.
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      Japan America Society of Greater Philadlephia

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公開日: 2015-05-28  

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