本研究は、現代中国の水利問題をケース・スタディに据え、ウィットフォーゲル(Karl A.Witt-fogel)が提起した「水利と権力」という理論の有効性を再検証し、現代中国における支配構造の解明を目指す。華北における民間水利団体は特定流域の水権を握っている。しかし、この水利団体は、民間からの支持を得た一方、国家権力と関わっている。水利団体内部或いは水利団体の間に起ったトラブルは時々自力で解決できず国家の介入を求めた。国家権力の介入も水利慣行を参考にした。このように国家権力と民間慣行と共同で水利秩序を維持してきた。
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