ラテンアメリカでは2000年代に入ってから米国からの自立を目ざす地域主義が強まり、米州ボリバル同盟(ALBA)、南米諸国連合(UNASUR)、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)といった新たな地域統合の枠組みが構築されている。とくに条約に基づいて設立されたUNASURは、すでにいくつかの地域的危機に対処し、その能力を示している。しかしUNASURは機構としての制度化が進んでおらず、首脳間のフォーラムの域を出ていないとの問題がある。それによる意思決定メカニズムの曖昧さは、パラグアイ危機(2012年)の際に露呈した。制度化の進展はUNASURにとっての最大の課題であるといえる。
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