本研究は、現代スペイン社会におけるスペイン内戦の犠牲者への祈念のあり方を調査・考察することを目的とした。宗教的な様相と世俗的な様相の交差する記念碑をめぐり、「歴史的記憶法」の適用以降、時の政治がそれらをどう扱い、どのようなコンフリクトがおき、そして人々がどのような反応をみせているかを、マドリードやアラゴンなどでの具体的事例を通じてまとめるとともに、内戦での戦没者とともに独裁者フランコをも埋葬する「戦死者の谷」という施設の在り方を考える特別委員会の動向に注目し、関係者とのインタビューや世論の分析を通じて、スペインにおける集合記憶の現状を提示した。
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