研究課題/領域番号 |
24510357
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
石川 智士 総合地球環境学研究所, 研究部, 准教授 (40433908)
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研究分担者 |
堀 美菜 高知大学, 教育研究部総合科学系, 助教 (60582476)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | カンボジア / トンレサップ湖 / 水産資源管理 / 小規模漁業 / 政策転換 |
研究概要 |
8月と2月に現地調査を行い、カンボジア政府の水資源省、Tonle Sap Authority, Fisheries Administration (FiA)を訪問し、局長もしくは副局長から、Tonle Sap湖の開発に関する現状と課題、水産資源管理に関する区画見直しと漁具規制の変更について情報を得た。Lotのエリアであった水域は、保全区域と漁場ならびにCommunityによる漁場とに再区分されていた。また、World Fish Centerのカンボジアオフィスから、カンボジア国内でLot停止がどのように報じられているかの詳しい情報を得た。 漁民への影響を調べるために、コンポンチュナン州のChhnok Tru村とPhat Sandai村を訪問し、Community Fisheries Groupを対象に、漁業の現状や漁獲量、魚種と魚価の変化についてインタビューをおこない、この結果としてLot停止に伴う影響は、漁業への依存度によって大きく異なることが判明した。資源への影響としては大型魚種が漁獲されるようになったが、これがLot停止に伴う影響か降水量の変化によるものかは判断できないとの認識は共通していた。このため、湖ないの資源分布や漁業の回遊範囲と基礎生産の関係性を解明するため、FiAと協同で水および魚サンプルを合計52サンプル収集し、安定同位体分析を行うこととした。また、Lot停止以上に、漁具規制の見直しが漁民生活に大きな影響を与えていることが判明した。特に、これまで中規模漁業として使用できた漁具の使用が禁止されたことの影響が大きく、Communityから政府へ規制の見直しを依頼している。湖につながる河川でのLotは一部継続されており、Lotオーナーから最近の変化についても情報を聞くことができた。河川のLotについては大きな影響はないようである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Lot停止に関する政府の動向や制度の見直しについては、十分に情報を得ることができた。また、漁民生活への影響についても、2村の住民から継続的に情報を得ることができた。残念ながら湖内のLotオーナーに関しては、既に漁業をやめていることから、コンタクトが取れなかった。 これらはカンボジア政府機関であるFisheries AdministrationやTonle Sap Authority との協力で実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
今までのところ、大きな問題点はない。しかし、漁業資源への影響に関しては、Lot停止に伴う影響であるか降水量や気象の変化によるものであるかは判断ができず、資源構造分析を急ぐ必要がある。加えて、漁民生活に大きな影響をあたえる大型魚類の資源変動は2年から3年の経過観察が必要なことから、今後も継続的な漁労・漁獲物調査を実施する必要がある。 降水量と水産資源量の関係性は、水と魚の安定同位体分析を実施することで、資源構造や魚の回遊範囲を明確化し、また、基礎生産量との関係性を食物網分析を行うことで側面的に理解をすすめる。 漁具規制の変更に関する影響も、World Fish Centerのカンボジアオフィスと連携しながら継続的な調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内における情報収集と研究集会に用いる国内旅費 2名x10万円x2回=40万円 カンボジア現地調査旅費 2名x20万円x2回=80万円
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