本研究課題は、現代において改編・消費・再生産される「伝統的」イギリス文化に付加された諸価値を見出し、そこにどのような「イギリス性(イギリス的特性・イギリスらしさ)」が表象されているかを解釈することによって、現代イギリス社会が包含する特異性を解明しようという試みであった。たとえば、伝統的建築物の改造といった事例からは、伝統のなかにも革新的な要素を盛り込んだ文化がイギリス社会に構築されていることが解明できた。一方、それが海外においてどう受容されているかというイメージの観点から見ると、革新的な部分は鳴りを潜め、依然として伝統的なイメージが先行し、それが国外では好まれ、再生産されていることがわかった。
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