研究課題/領域番号 |
24510373
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
徐 阿貴 お茶の水女子大学, ジェンダー研究センター, 研究機関研究員 (90447566)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 韓国 / 移住女性 / 社会運動 / トランスナショナリズム |
研究概要 |
本研究は、2000年代以降韓国で活発化している「多文化」社会論に関し、結婚による移住女性に焦点をあて、これを政策と運動の相互のダイナミズムとして捉え、実態を把握するものである。フェミニスト政治社会学に依拠しつつ、韓国における多文化主義の展開を分析することにより、グローバル化や低出産に直面する東アジアの文脈において「多文化」言説がどのように生み出され、ネイションの再編成に関わっているかを明らかにすることがねらいである。初年度では、以下の研究活動を行った。 1.理論的枠組みとして、ジェンダー視点からの国際移動論、ディアスポラ論、複合的差別論の検討を行った。とくにアジアにおける移住女性組織、国際結婚、家族、コミュニティ活動に関する先行研究を参照した。理論的枠組みに関しては、これまで行ってきた在日朝鮮人女性運動研究におけるサバルタン女性、公共圏論を基盤に、移民第1世代女性による主体形成の分析に向け再検討を行った。また韓国の移住女性支援運動と政策に関し資料データの収集を行った。 2.並行して、社会運動領域における現状把握のため、韓国で予備調査を実施した。調査対象は、ソウル国際女性映画祭多文化映像プログラム、戦争と女性の人権博物館、「基地村」の性労働者支援活動である。調査から、性暴力被害者支援を基盤として、韓国女性の人権運動と移住女性の間に相互的かつ有機的な連帯が形成されていることを確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、初年度は理論的枠組みおよび先行研究の検討を行い、当研究の基礎となる分析視角を獲得できた。また韓国での予備的なフィールド調査を通じ、移住女性に関する運動の現状を把握すると同時に、組織や個人とのネットワークを形成することができた。ただしデータ収集がまだ十分とはいえず、次年度に継続して行う。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度に実施した予備調査をもとに、フィールドワークとインタビューによる実態把握を本格的に展開する。トランスナショナルな女性連帯の形成に関しては、地域社会との協働や政策形成への関与、文化活動を焦点にデータの収集と検討をさらに進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
初年度で予定していた政策資料の収集がまだ十分とはいえず、若干の残額が発生した。次年度の現地調査においてこの分野のデータ収集を継続し、残額をこれに充当することとする。
|