研究課題/領域番号 |
24510380
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
伊田 久美子 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (20326242)
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研究分担者 |
木村 涼子 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (70224699)
山田 和代 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (50324562)
熊安 貴美江 大阪府立大学, 地域連携研究機構, 准教授 (90161710)
中原 朝子 神戸大学, 男女共同参画推進室, 助教 (50624649)
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キーワード | 若年女性 / 高卒以下 / 依存関係 / 権力関係 / 情緒関係 / 無償労働時間 / 幸福度 / 生活満足度 |
研究概要 |
若年女性の労働と生活の実態調査実施に向けて調査票の質問項目および形式を検討し、質問票を完成させた。先行研究を検討するうちに、本調査で明らかにすべき課題が明確化し、貴重な調査機会をできるだけ活かすことのできる調査票の作成に集中することとなった。海外調査についても当初予定を変更し、調査票作成のための文献調査を十分に行い、最終年度に調査結果の分析を国際学会で報告し、関心を共有する各国研究者との意見交換の機会とすることとなった。質問票作成にあたっては、内外の先行調査研究を検討し、次のような方針での調査票作成を行った。 (1)社会的排除概念を用いた調査研究においては労働市場や家族等人間関係からの排除に問題の焦点が当てられているが、家族関係の内部における貧困や困難を捉える枠組みが不十分であり、女性の貧困の不可視化はこの枠組みの不備に起因する部分が大きいと思われる。 (2)社会的包摂の質を問い直す動きは、いくつかの先行文献に散見されるが、本格的にはこれからの課題であり、包摂=依存、助け合いの関係について、経済的のみならず制度的情緒的観点からの実態、依存関係における権力関係、および当事者の評価等を調査項目に含めることが必要である。なお、依存関係は家事育児介護等の無償労働についても検討することが重要である。 (3)幸福感、生活満足度について先行調査研究と比較検討ができるよう、質問項目を充実させる必要がある。 (4)男性との比較が先行調査研究においては比較的乏しいと思われるため、男女同数の回答を得られるよう調査予算配分に配慮する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外調査を文献調査および海外研究報告に変更し、質問項目の増加やサンプル数の増加等ウェブ調査の規模を拡大するなど、当初予定のかなりの変更を行ったが、それによって研究目的の達成の見通しがより明確化し、当初想定していた以上の成果を挙げることが可能になったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
ウェブ調査は26年4月中に実施の見通しとなっており、すでに調査会社と最終調整を終了しつつある。調査結果に基づく分析を7月26日の日本フェミニスト経済学会、および8月17日からハイデラバード大学(インド)で開催される国際女性学会で報告する予定ですでにエントリーを済ませている。とくに依存関係、社会的包摂の質の見直し等の研究枠組みについて問題提起し、内外の研究者と議論を行う。年度後半は調査結果、学会等における意見交換を踏まえて研究報告を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内外の参照すべき先行研究調査の検討を踏まえて、新しい質の分析をめざして質問項目作成に時間と労力を費やした。その結果、ウェブ調査実施が年度を超えて26年4月に実施となった。また海外調査については当初ウェブ調査実施前に行う予定でいたが、文献調査を十分に行い、ウェブ調査結果分析によって一定の成果を出して報告をまとめ、それを持って国内外の研究者と意見交換する方向に、研究実施予定を変更した。 その結果、ウェブ調査費および海外渡航費のいずれも執行が26年度になってからという見通しとなった。 ウェブ調査費115万、国内旅費(学会参加:名古屋大学)10万円(4人)、海外旅費(学会参加:ハイデラバード)学会参加費17万+旅費125万(5人)、謝金(英文校閲等)10万、会議費等雑費10万、分析用統計ソフト17万
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