平成24年度に実施した神奈川県市町村のマクロデータに基づくソーシャル・キャピタルと女性の政治参画の関係性分析の結果が予想に違うものとなったため、平成25年度は、神奈川県の市町村議会議員を対象に「神奈川県の市町村における地域社会の特性と政治活動に関する調査」を実施し、地域社会の特性(ソーシャル・キャピタル指標を含む)と女性の政治参画の関係性を再度分析した。市町村議会議員の認識というフィルターを通してはいるが、ソーシャル・キャピタルが豊かな地域であるかどうかということとと女性の政治参画が進んでいるかどうかということの関係性をみようとしたものである。 本年度はまずこの調査結果の報告書を作成し、分析を進めた。しかしこの分析においても、ソーシャル・キャピタルと女性の政治参画との明確な関係性が析出できず、女性の政治参画についてはむしろ、地域のデモグラフィック要因や経済的要因との関係性が強く検出された。この分析結果については、学会で報告し(国際ジェンダー学会2014年大会)、研究論文にまとめた(「再考:女性の政治参画とソーシャル・キャピタル」『東海大学紀要 文学部』第102輯)。 本年度はさらに、地域のソーシャル・キャピタル、女性の政治参画とジェンダー関連政策の推進との関連を明らかにするべく、神奈川県市町村の男女共同参画プランを入手し、その分析を行なった。各市町村の現行の男女共同参画プランは、策定された時期や国の男女共同参画基本計画の影響を大きく受けてはいるが、それでも市町村ごとの特徴がみられ、地域における女性の政治参画との関係性は確認できた。しかしソーシャル・キャピタルが豊かであるかどうかということとの関係性は明らかにならなかった。
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