研究課題/領域番号 |
24510385
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鈴木 紀子 横浜国立大学, 男女共同参画推進センター, 特任教員(准教授) (40625117)
|
キーワード | 社会貢献 / 女性労働 / キャリア形成 / NPO / ソーシャルビジネス |
研究概要 |
科研費による研究の2年目となる平成25年度は、前年度に実施した先行研究と日米におけるヒアリング調査の結果を整理して、研究成果の一部としてまとめることを試みた。また、アンケート調査実施のための準備に着手した。 具体的には、第一に、学会報告を行い、社会貢献を目的とする事業で働く女性について、事例にもとづく日米比較研究を行った。そのなかで指摘した点は、①米国のNPOにおいては経験の有無が就職に結びつく大きな要因となること、②米国のNPOで働く人々の収入は日本の社会貢献を目指す団体で働く人々の収入と比べて高く、企業勤務者と比べても遜色はないこと、③日本において米国のNPOのような収入を得られるケースはまだ少なく、収入を得られる事業は介護など福祉領域に多いこと、などである。 第二に、これまでの研究内容の整理や研究の方向性を確認するため、学会報告(2013年3月、2013年10月)によって得た指摘や助言を参考にしながら、研究の一部を論文としてまとめ、本研究テーマに最も関連すると考えられる雑誌に投稿をした。3月末現在、論文は査読審査中である。 第三に、アンケート調査の実施に向けて、具体的な実施方法や調査協力者の検討を始めるなど準備を開始した。複数の実務者から助言を得ながら、調査スケジュール等を検討している段階である。 以上、平成25年度に行った研究は、次年度の研究の基礎となる内容であり、今後、研究を進めていく上での課題の把握につながるとともに、研究の意義を再検討する際に大いに役立つものとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度より所属する大学が変わり、新しい職務内容と環境に慣れることに多くの時間を要する状況となった。そのため、当初の研究計画によるタイムスケジュールに沿って研究を進めることは難しくなり、予定していたアンケート調査は平成26年度に実施することとした。 具体的には、平成25年度から前年度までとは異なる大学に職を得て、新たに学内に立ち上げた組織で仕事をすることとなり、先の見通しを立てて動くことは難しく、目の前の職務に取り組むことが精一杯の状態であった。また、新たな所属機関における職務は、前年度までと比べて外部との関わりや学内業務も大きく増加するものとなった。 ただ、そのように研究環境が大きく変化した一方で、学会報告のための「フルペーペー」の作成や投稿論文の執筆などを通して、これまで実施してきた先行研究のサーベイやヒアリング調査の結果などを整理することができ、それは研究の現状把握と課題の確認につながった。こうした研究プロセスを通じて、研究に不足している点、不十分な部分などを洗い出したことは、今後の研究に大いに役立つと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定よりも研究が遅れてはいるものの、それは想定範囲内のものである。平成26年度は、新しい環境での研究も2年目に入り、状況を見通しやすくなることから、以下の点について、精力的に取り組んでいく。 【アンケート調査の実施と分析】 これまでの研究の成果をふまえ、アンケート調査の準備と実施を重点的に行う。具体的には、調査対象者の確定など準備作業を加速させるとともに、調査協力者とともに調査票の作成や印刷、発送、回収、データ入力などの作業を行い、分析および仮説の検証などを実施する。 【研究成果の取りまとめ】 これまでの聞き取り調査や先行研究の結果とアンケート調査の結果を総合的に検討しながら、学会報告や論文執筆などを通じて研究を取りまとめていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に実施する予定であったアンケート調査を行わなかったため、人件費・謝金などが発生しなかった。 平成26年度には、前年度に実施しなかったアンケート調査を行うため人件費・謝金が発生することになる。調査票の発送・回収やデータ入力などを応募者1名で行うことは難しく、アルバイトなどに依頼をする必要がある。状況によっては、NPOの支援団体など専門知識や特定領域のネットワークを有する研究協力者とも連携を図ることを検討する必要がある。 また、国内の聞き取り調査や研究の取りまとめを行うために、国内旅費など成果報告のための費用を計上している。
|