研究課題/領域番号 |
24510387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 敬和学園大学 |
研究代表者 |
杉村 使乃 敬和学園大学, 人文学部, 准教授 (20329337)
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研究分担者 |
桑原 ヒサ子 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (70234630)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ジェンダー / エスニシティ / 第二次世界大戦 / メディア / 表象 / 戦後秩序 / 身体 / 表現 |
研究概要 |
本年度は各メンバーが、分担された史料の精読、分析に努めた。新たに資料として、第二次世界大戦下に日本で出版された『アサヒグラフ』の現存するものを揃え、研究協力者の神田より子が精読、分析にあたっている。研究分担者の桑原ヒサ子はドイツにて、第二次世界大戦下における女性の戦争協力に関する史料を収集した。 研究会(合宿)は9月と3月の二回、箱根において行った。研究報告内容は、以下の通り。 9月:報告1「戦時下のイギリスの女性雑誌」(杉村使乃)1930年代に創刊した女性向け週刊誌『ウーマン』の表紙の図版にすべて目を通し、第二次世界大戦前と大戦中、そして戦後の傾向について分析を行った。報告2「『ナチ女性展望』がつくるヒトラー像」(桑原ヒサ子)ナチス政権下で発行された女性向け雑誌『ナチ女性展望』を取り上げ、表紙や記事に出てくるヒトラーの表象について分析、考察を行った。また、この合宿ではH24~26年度の研究計画を確認し、研究会の日程、内容などの打ち合わせを行った。 3月:報告1「日系アメリカ人収容所とドロテア・ラング(Dorothea Lange) の視線」(松崎洋子)写真家ドロテア・ラングが残した日系アメリカ人収容所に関する写真を他の写真家のものと比較し、考察した。報告2「「スポーツ」表象にみるナショナリズムとジェンダー:1940ー50年代の「甲子園」を中心として」(池川玲子)第二次世界大戦時から戦後までのスポーツ(野球を中心に)におけるジェンダー表象について具体的な記録に基づく考察を行った。ミーティングではH25年度の研究会の日程、内容を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予算の関係で、申請時に計画していた史料すべてを収集し、分析にあたることは難しくなっている。特に戦時下の現物史料に関しては想定していたよりも値段が高く、『アサヒグラフ』は複数の年度にわたり、購入することにした。しかしながら、イギリス、アメリカ、中国、ドイツ、日本について、それぞれ第二次世界大戦下を代表する大衆メディア(雑誌)の収集(コピーを含む)、分析を概ね順調に進めている。分析結果については、適宜、研究会で報告している。 研究成果は主に雑誌論文、学会などで公開している。計画していたウェブ上での成果発表は、まだ進んでいないが次年度以降、準備を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は引き続き、イギリス、アメリカ、中国、ドイツ、日本の第二次世界大戦下の大衆メディア関連資料の収集、分析にあたる。また、戦時下だけでなく、戦後のジェンダー秩序の形成や民族表象への影響についても考する。 研究会は年に2回~3回開催を予定している。各メンバーがそれまでの分析結果について報告する。研究会は可能な限り、近隣の研究機関、一般市民にアナウンスし、研究成果のより広い公開に努める。所属研究機関は地方の小規模大学であるため、より広く研究成果を公開するために、H25年度より、京都大学地域研究統合情報センター(CIAS)と連携し、より一層の成果公開に努める。また、初年度に実施できなかった、他の研究機関からの講師招聘を積極的に行い、自分たちの研究内容への批評を受ける機会を持つ。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、前年度に引き続き資料・文献の収集・分析を継続する。まとまった予算が必要なものとしては、第二次世界大戦時~1950年代までの『アサヒグラフ』、『連合婦人』の復刻版、イギリスの女性と身体表象(スポーツを通して)に関する資料購入を予定している。 研究会は夏季(所属研究機関近辺にて開催予定)と春季に予定している。共同研究のメンバーの報告だけでなく、金惠信氏(青山学院大学)、貴志俊彦氏(京都大学地域研究統合情報センター)の招聘を予定している。
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