研究課題/領域番号 |
24510388
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
戸田 真紀子 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (40248183)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ケニア |
研究概要 |
ケニアで最も貧しい旧北東州において、FGM廃絶など女性の地位向上に関わる政策決定過程に、伝統的指導者がどのように影響を与えてきたのか、そして、女性指導者たちはどのように対抗してきたのかという政治力学を調査することが、本研究の目的である。 初年度である平成24年度は、首都ナイロビ及びガリッサにおいて、インタビュー調査を行い、旧州都ガリッサにおける政策決定過程に影響力をもつ人々の相関図を作ると共に、彼(彼女)たちが、女性のエンパワーメントについて、どのような立場でいるのかも明らかにし、また、ガリッサにおいてFGM(女性性器切除)反対キャンペーンを続けているNGOや国際機関の担当者にもインタビューを行い、彼らが進めていきたいプロジェクトにどのような紆余曲折があったのかを調査する予定であった。科研申請時には予期せぬことであったが、調査地が「テロとの戦い」に巻き込まれ、隣国ソマリアのテロ組織アルシャバブの報復テロが首都と調査地で頻発し、インタビューをお願いする方々の安全を確保できないと判断し、渡航を延期した。そのため、平成24年度は、文献調査と現地の協力者であるワルサメ氏らとのメールのやりとりによる情報収集が主な研究成果である。特に、ケニアで最も遅れたとされる公教育の分野について、旧北東州の教育の歴史、教育者の伝記など、重要な文献資料を入手することが出来、次年度以降のインタビュー再開に向けて、十分な準備を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガリッサにおける政策決定過程に影響力をもつ人々の相関図を作ることが平成24年度の調査目的であったが、渡航できなかったため、作成は次年度以降の調査まで待つこととした。この点では予定は少し遅れていることになるが、その代わりに、公教育の発展の歴史についての貴重な文献を現地から入手することができ、その研究により独立以前から現在までの有力者の名前、人物像を明らかにすることができたため、平成25年度に行う予定だった文献調査の先取りが出来たと判断し、(2)と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、文献調査に加え、ケニア及びケニアと比較できる諸国において現地調査を行う。ケニアでは、本年度の文献調査により明らかになった、旧北東州の長老や宗教指導者の人物相関図を作成し、またケニアよりも女性の社会進出が進んでいるアフリカの国々と比較することによって、旧北東州における女性の社会進出を阻んでいる要因を明らかにし、その要因を他国がどのように克服しているかを考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に使用できなかった海外渡航とインタビューの謝金は、平成25年度に、ケニア及び比較対象国への渡航費用、インタビュー謝金として使用する。
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