研究課題/領域番号 |
24510388
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
戸田 真紀子 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (40248183)
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キーワード | ジェンダー |
研究概要 |
本研究の目的は、女性の地位向上に関わる政策決定過程に、伝統的指導者たちがどのような影響を与えてきたのか、それに対して女性指導者たちはどのように対応してきたのか、その政治力学を明らかにすることであった。 平成25年度の研究は以下のように行った。 (1)当初予定していたケニア共和国旧北東州での現地調査は、現地でテロ事件が続いているため今年度も断念し、海外共同研究者から資料を送付してもらうなどして、この地域の研究を継続した。植民地期からの教育史の資料を入手したため、現地での世俗教育の発展に伝統的指導者が非常に熱心であったことが明らかになった。 (2)ケニアでの調査の代わりに、比較研究として、旧北東州と規模こそ違うが同じジェノサイドを経験した2つの地域の現地調査を行った。下院の女性議員割合が世界第一位(議員の半数以上が女性)となったルワンダと、旧北東州と同じイスラーム地域を抱えるボスニア・ヘルツェゴビナを訪問した。ルワンダでは、主に農村部でインタビューを行い、ルワンダの慣習における男女の役割分担などの情報を集め、ケニアの旧北東州との比較を行った。また、ジェノサイド後に成立したルワンダ政府がクオーター制導入に至った経緯なども調査した。ボスニアでは、ムスリム人(ボスニャク人)居住地域を訪れたが、イスラームの教えに対する女性の姿勢と、現時点での女性の地位が、ケニアの旧北東州のソマリ人女性とは全く違うレベルであったため、単純な比較をすることなく、女性の地位向上に関わる歴史を慎重に調べる必要性を認識した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間内に明らかにすることとして、(1)政策決定過程への伝統的指導者と宗教的指導者の関与の度合い、(2)女性指導者のスタンスの2点がある。死傷者を伴うテロ事件が続いているため、当初予定していた各クランの長老にインタビューすることなど、できていないこともあるが、ジェノサイドを経験した3地域を比較することができ、調査のポイント、視野が広がった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、引き続きルワンダで調査を行い、どのような施策が女性議員の増大につながったのか、誰がその施策を推進したのかを明らかにし、ケニアの旧北東州でそのような展開が可能かどうかを明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請後にケニア共和国軍が隣国ソマリア南部を支配するテロ組織アルシャバブの掃討作戦を行った結果、調査地でもテロ事件が頻発し、平成24年に予定していた海外渡航を行わなかったため、次年度使用額が生じている。 今年度も海外渡航を予定しているため、旅費に用いる。
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