DVの防止及び被害者保護の実現のためには、DV防止法に任せておくだけでは不十分である。民法の中の家族法と呼ばれる部分は、婚姻関係を規定しているが、暴力の問題については何も言及していない。裁判例を見ると、夫婦間に暴力があっても、相手方配偶者の言動と相殺されるものとして扱われるなど、暴力をふるう側の正当化を肯定する事例が少なくない。本研究の結果、日本の家族法は、婚姻関係における暴力を一定程度許容しており、そのような婚姻観を前提して構築されていることがわかった。暴力のない関係性を保障できるような法制度を確立すべく、家族法の改正が必要である。
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