研究課題/領域番号 |
24510390
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
宮坂 靖子 奈良大学, 社会学部, 教授 (30252828)
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研究分担者 |
光石 亜由美 奈良大学, 文学部, 准教授 (90387887)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ジェンダー / 近代家族 / セクシュアリティ / 東アジア / 日本統治期 / 比較研究 |
研究概要 |
本研究の目的は、明治・大正・昭和前期を対象にして、日本近代における家族とセクシュアリティの形成と変容を明らかにすることである。その際、第一に、「家族」内部と「家族」外部の拮抗する言説構造とそのポリティクスを明らかにすること、および、第二に、日本のみならず、日本が植民地化した台湾・韓国・中国を比較対象として設定し、両者を比較することを通して、日本近代の家族とセクシュアリティの特質を把握することを試みる。 日本、台湾、韓国、中国について実施した研究進捗状況は以下の通りである。 1)まず日本において、日本近代における近代家族とセクシュアリティについて、大正期の産児調節運動と花柳小説を題材とした研究を行った。2012年12月2日に、慶應義塾大学三田キャンパスにおいて、公開研究会「東アジアの近代家族とセクシュアリティ」を開催した。2)台湾については、2012年8月に日本統治期の台湾社会を知るための予備調査と日本統治期に刊行された女性雑誌に関する文献調査を実施した。調査の結果、『婦人と家庭』『台湾婦人界』の2誌を研究対象資料として選定し、前者から内容分析を開始した。3)韓国については、2012年11月に日本統治期に刊行された女性雑誌に関する文献調査を実施し、『新女性』を分析資料として選定するとともに、『韓国女性文化史』などの基本文献の日本語への翻訳作業を行った。4)中国に関しては、先行研究やインターネットによる文献調査により、分析対象雑誌として『婦女雑誌』を選定し、産児調節運動関連記事の日本語への翻訳作業を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本における近代家族とセクシュアリティに関する研究は順調に進んでいる。台湾・韓国・中国に関しては、台湾研究が予定通り進捗している。一方で、韓国、中国については資料調査により、分析対象資料の選定までは完了したが、実際の内容分析にはこれから着手するところである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も、日本研究と東アジア研究(台湾、韓国、中国)を両輪としつつ研究を遂行する。日本においては、明治・大正・昭和初期の日本近代における家族とセクシュアリティをテーマとした雑誌分析、文学テクスト分析を行い、第2回公開研究会「東アジアの近代家族とセクシュアリティ」を開催する予定である。 また今年は東アジアのなかでは、韓国研究に重点を置く。日本統治期における韓国社会の状況に関する現地予備調査を実施するとともに、韓国の研究者を招聘し、学会大会の特別企画、公開研究会などを企画することを計画している。 その他、台湾、韓国、中国における女性雑誌や文学テクストの言説分析を通して、統治期日本(中国の状況は異なるため、主に1920年代中国を対象とする)における家族とセクシュアリティを構築しようとした言説状況を明らかにすることを試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
現地調査や資料分析などの具体的研究は、ほぼ平成25年度までで終了する計画であり、来年度は補足の必要が生じた場合に追加の調査を実施するほか、主に、研究成果の公表のために研究費を用いる予定である。
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