研究課題/領域番号 |
24520005
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
小熊 正久 山形大学, 人文学部, 教授 (30133911)
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研究分担者 |
清塚 邦彦 山形大学, 人文学部, 教授 (40292396)
田口 茂 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (50287950)
山田 圭一 千葉大学, 文学部, 准教授 (30535828)
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キーワード | 表象媒体 / 画像 / 知覚 / 想像 / 言語 / 現象学 / 分析哲学 / メディア |
研究概要 |
研究代表者と分担者は、表象媒体ないし画像について以下の研究成果を公表することができた。○小熊は、フッサールの分析に従い、知覚、想像、画像意識といった諸作用やその諸媒体の現象学的特徴づけに不可欠である「中立的変様」の意味を明らかにし、画像知覚、演劇鑑賞、小説の読書などにおいてこの変様が働いていることを明らかにした。○田口は、フッサールの「明証」概念がもつ「媒体・媒介」という含意を究明し、また、フッサール全集23巻に即して意識の原理的な媒体性格についての検討を進めた。さらに、倫理・宗教・芸術における「媒体」「媒介」という発想を、ドイツ観念論を手がかりにして検討した。○清塚は、画像を含む作品とその対象の間の類似関係の分析のための準備作業として、ネルソン・グッドマンのautographicな作品とallographicな作品の分類について、芸術ジャンルごとの作品の存在様態の相違という観点から批判的検討を行った。○山田は、ウィトゲンシュタインと現代の知覚の哲学におけるアスペクト知覚の扱いを比較検討し、アスペクトの変化における経験の表象的性質と現象的性質の変化について考察した。その上で、「他の諸対象との間の否定的関係(文法的な排除関係)のもとで対象を見る」というウィトゲンシュタインの見解の独自性を明らかにした。 そのほか、25年7月と26年1月の研究会において、講師による以下の提題を受け、討論を行った。小草泰「知覚の志向説と選言説」、源河亨「許容可能な知覚内容について」、西岡けいこ「絵画の『媒体性』としての『まなざしの歴史性』」、森功次「サルトル『想像力の問題』結論部第二節『芸術作品』精読。その結果、現在の「知覚の哲学」、現象学派(メルロ=ポンティ)の絵画論、知覚論での議論を含め、知覚や画像表象について、媒体、感覚と意味という観点から議論を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
表象媒体としての知覚経験、想像や画像表象、作品としての表象媒体、ドイツ観念論などの思想史的観点からの媒体論、といったそれぞれの観点から、「表象媒体」、「画像」についての研究を進め成果を上げつつあり、それは研究成果の発表に現れている。また、講師を招いての研究会における討論を通して、次第に論点が集約されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
個人研究の推進計画は以下の通りである。小熊は、主にフッサール著作集第33巻によりながら、「感覚」の時間的構成などの事象を検討することを通して、フッサールの表象媒体についての研究をまとめる予定である。田口は、現象学やドイツ観念論も視野に入れながら媒体性の考察をおこなう。山田は、言語の知覚をも視野に入れながら、アスペクト知覚とその媒体性についての議論の検討を行う。清塚は、像の存在様式と対象の存在様式との相関関係全般を検討して、像の媒体性を考察する。 今年度は以上の個別研究を進めるとともに、相互に論点を突き合わせながら、全体として、「知覚および画像表象(画像知覚)における感覚的要素と意味的要素の関連」を問題としていくこととなる。今年度も講師を招くことにより、分析哲学系の「知覚の哲学」、現象学派の知覚論、画像論などを参照しつつ、考察することとなる。 また、成果をメンバーと提題者による論文集の形で集約する計画を進めており、そのための研究会も予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
書籍購入の際の事情により、平成25年度で未購入のものがあり、予算使用に残金が生じた。 平成25年度未購入の書籍を平成26年度に購入する計画である。
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