研究課題/領域番号 |
24520010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
WEEKS Mark 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (70514222)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 笑 / ユーモア / 時間 |
研究概要 |
笑いと時間意識という題材を考慮した概念と理論的語彙に習熟するため、私はHusserlの作品とその関連作品、具体的には、ジャーナルHusserl Studiesおよび一時的な意識を扱ったDeleuzeの Difference and Repetitionを研究しました。またユーモアの学術的研究に特化したジャーナルであるHumor、 Comedy Studies と笑い学研究にも注意を払い研究を進めました。研究は、Journal of Philosophyなどのユーモアや笑いに関する作品を出版した他の分野のジャーナルについても行いました。 6月中旬、私はポーランドのクラクフで行われたAnnual Conference of the International Society of Humor Studiesに出席し、“Time Slip in Laughter”と題した論文を発表しました。タイのバンコクで8月中旬に開かれたAsian Conference on Arts and Culturesに出席し、“Conceptions of Comic Laughter” と題した論文を発表しました。2月中旬にオーストラリアのシドニーであったGlobal Conference on Time, Space and the Bodyに出席し、“Temporal Collapse in Laughter” という論文を発表しました。 また“Perceptions of a Disappearing Self”という論文(研究科紀要Studies in Language and Culture [2012] 34)において、時間を基にした笑いの理論を特定の日本のコメディー映画研究に適用することについての仮説を展開しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今のところ全体的に達成度には満足しています。研究のためにかなりの 本を読了しましたが、予定量よりも少なく70%程度です。これはポーランドやタイ、オーストラリアでの国際会議の準備と論文のプレゼンテーションに膨大な時間と努力を使ったためです。 3つの国際会議で研究題材に関する論文を提出することは、1つの国際会議に論文を発表するという計画をかなり超えていました。この会議や同会議で出会った多様なフィールドの多数の学術者からのフィードバックや有益な提案によって、研究が一層深まりました。にもかかわらず、当初抱いていた研究上の疑問点に関しては、収集した具体的な情報は、限られており、疑問点氷解にいたっていません。なお日本笑い学会 の年会議に出席しなかったのは、日本についての研究能力が不十分で日本語にも十分に精通していなかったためです。ポーランドで開催されたInternational Humor Studiesの会議を通じてユーモアの研究分野で熱心に活動している日本の学術者と会うことが出来ました。しかしながら、全体的には、予想していたより日本人の学術者との接点がありませんでした。 自分自身の研究に基づいた発行文献数は予想を上回りました。研究科紀要Studies in Language and Cultureに簡単な論文のみを掲載する予定でしたが、新しく設立したIsraeli Journal of Humor Research に招待され、長い論文を発表する事が出来ましたし、同ジャーナルの編集委員会に参加するよう招聘を受けました。
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今後の研究の推進方策 |
さらに多くの研究書を読むことが必要だと考えています。時間と映画製作の関係性に関するDeleuzeの著作を読み、著作 Cinemaを熟読します。Maurice Merleau-Pontyの著作をさらに読み、特にPhenomenology of Perceptionを精読するつもりです。同作品は、具現化した精神と一時的な経験の関係性を扱っています。このような考えを実際的な理論を通じて、総合的に思考していく予定です。 少なくとも来年は2つの国際会議への出席を予定しています。7月初旬に米国のウィリアムズバーグで行われるAnnual Conference of Humor Studies に登録し、“Comic Nomadic Counterculture”と題した論文発表の申請しました。この論文はDeleuze の時間の哲学を適用し、笑いの重要性と芸術家Andy Warholの作品のコミック的な側面を解説しています。9月初旬にイギリスのオックスフォードで催される2nd Global Conference on Time, Space and the Bodyで、“Laughter’s Transformation of Social Space through Time” と題した論文発表の申請も行っています。 2014年には、笑いにおける主観的な時間体験の決定的な理論モデルを発表するため、オランダの Annual Conference of Humor Studiesに出席する予定です。 こういった活動を通じて目的とするのは、クロスカルチャーの基礎を広げ、その結果として研究結果を広く発信しながら、より深い論理的なモデルを構築することです。
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次年度の研究費の使用計画 |
翌年度(2013年)の経費総額は約610,000円で、その大半は旅費に使われます。7月初旬に米国のウィリアムズバーグで行われる25th Annual Conference of the International Society for Humor Studies への出席費用は約300,000円 で、飛行機代、宿泊費、生活費を含みます。9月初旬のイギリスのオックスフォードの2nd Global Conference on Time, Space and the Body への出席費用は約310,000円で飛行機代、宿泊費、生活費を含みます。
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