フッサール現象学を探求することによって、笑いという経験は、意識の流れの継続性に着目した「超越的主体性」と呼ばれる枠組みにおいて理解することの難しさが明らかになった。これにより、笑うという行為を、笑いという現象そのものからユーモアの研究に焦点を移さずに考えることがなぜ困難なのか、説明が可能になった。本研究者は、笑いを対話および感情的要素に関する概念から切り離し、時間経過の意識を狂わせる機能としてとらえることの利点を示した。この新たな笑いの概念は、哲学のみならず、文化、文学、教育の研究にも応用できる。またこの研究は、心理学と社会学の分野でよく扱われる時間概念の研究にもつながりを見出している。
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