研究課題/領域番号 |
24520012
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉村 靖彦 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20303795)
|
キーワード | 西田幾多郎 / 田辺元 / 歴史哲学 / 宗教哲学 / ハイデッガー / ベルクソン / フランス社会学派 |
研究概要 |
本研究が狙いとするのは、1930・40年代の西田・田辺を始めとする京都学派の哲学を、同時代の仏独哲学の幾つかと交差させつつ並行的に研究し、双方が深く触れ合う諸々の問題系と思考空間を「宗教哲学と歴史哲学の絡み合い」という姿で浮かび上がらせることである。本年度は、昨年度に進めた西田・田辺のこの時期の主要テクストの精読の成果と、海外の研究者たちとの研究交流で受けた刺激をもとにして、以下の諸点において研究活動を展開した。 (1)田辺の種の論理とフランス社会学派との交差:前年度に仏訳を刊行した田辺の「社会存在の論理」(1934)におけるベルクソンの『二源泉』読解の箇所での論述を起点として、田辺とベルクソンが共に批判的に参照するフランス社会学派との関連で、田辺の種の論理の哲学的潜勢力を引き出そうとした。この研究は2013年11月にパリで開催したベルクソンについてのシンポジウムでの発表に結実した。 (2)後期西田哲学におけるハイデガー哲学への参照:この時期の西田と田辺の相互批判・相互参照的関係は、彼らがハイデガーに対してもつ関係を介することで多くのことが見えてくる。そしてそれをフランス哲学における独特のハイデガー受容と比較することを通して、西田や田辺の思索に組み込まれた宗教的伝統のリソースの持つ意味が浮き彫りになる。そういった見通しの下、今年度はとくにこの時期の西田において断続的にみられるハイデガーへの批判的言及を網羅的に研究した。その成果の一端は、韓国の梨花女子大学に招かれて2014年の1月と3月に行った講義の中で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の基礎的な研究の成果を生かして、さらに多方面に研究を進展させることができた。そして、その成果を海外でフランス語や英語で発表し、生産的な反響を得ることができた。これに加えて、研究内容を日本語で発信することが必要だが、すでに2本の論考が受理され発表予定となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となることを意識して、前年度と同様に海外の研究者たちとの意見交換や連携を進めつつも、本研究課題の全体について総括となりうる論考の発表を目指していきたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当該年度の研究計画との関連で予定していた海外渡航が1件、先方とのスケジュールが合わず取りやめになったため。 次年度使用額は、翌年度分請求分の旅費と合わせて、主に海外での研究調査のために使用する予定である。
|