研究課題
本研究が狙いとしていたのは、1930・40年代の西田・田辺を始めとする京都学派の哲学を、同年代の仏独哲学のいくつかと交差させつつ並行的に研究し、双方が深く触れ合う諸々の問題系と思考空間を「宗教哲学と歴史哲学の絡み合い」という姿で浮かびあがらせることであった。一昨年度と昨年度は、そのために必要な西田と田辺の基礎文献の研究に精力を注ぐと同時に、海外での資料調査も行いつつ、同時期のフランスにおけるヘーゲル、ハイデガー、マルクスの受容と、そこにベルクソンやフランス社会学派の問題系が絡みあう様を精査した。その結果、当初に考えていた以上に研究領域が広がってしまったが、本研究の最終年度である本年度は、それらの成果に可能な限りのまとまりを与えるべく、以下のような活動を行った。(1)西田・田辺の歴史哲学と「フランス社会学派」の問題系との突き合わせ。昨年度にベルクソンの国際シンポジウムで行った田辺、ベルクソン、フランス社会学派の三者の関係についての発表をさらに拡充し、日本語の論文として発表した。また、2014年11月に講演会のために招待したJ.A.Barash氏(アミアン大学教授)と、氏の集合的記憶論をベースにした歴史哲学研究を踏まえて、この問題について意見交換と討議を行った。(2)西田の歴史哲学と宗教哲学の関係。フランスでの資料調査の機会を利用して、この点に以前から関心をもっているE.Cattin氏(クレルモン=フェラン大学教授)やJ.Greisch氏(パリカトリック学院名誉教授)と意見交換の機会をもち、研究代表者の研究内容を説明した。また、その一部をフランス語でまとめ、雑誌『Cités』に寄稿を依頼されていた論文に結実させた。(3)本研究の総論に当たる内容を、フランスの哲学雑誌『Philosophie』の125号、126号に寄稿した(125号は刊行済、126号は刊行予定)。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)
Philosophie (Paris, Editions Minuit)
巻: 125 ページ: 44-62
宗教哲学研究
巻: 32 ページ: 123-129
日本哲学史研究
巻: 11 ページ: 38-64