研究課題
平成25年度は、三つの課題を中心に「多元的言語論に基づいた科学哲学の構築」に向けて研究し、その成果を国際会議や国際ワークショップなどで発表した。第一の課題は、動的規範論理学(Dynamic Normative Logic, DNL)という論理体系の提案である。またこれと関連して、DNLを言語行為の分析に適用することなども提案した。DNLは、拙著『規範とゲーム』(2011)などで提案された規範体系論理学(Logic for Normative Systems、LNS)に情報更新の操作を加えて、動的変化を表現できるようにした論理体系である。この課題については、複数の国際ワークショップに参加し研究発表を行った。この第一の課題は、信念構造の改訂と関わるため、「パラダイム変更」などと呼ばれてきた理論変更の問題とも深く関係するものである。第二の課題は、A. Clark や D. Chalmers らが提案し近年話題になっている〈拡張された心〉の概念を、四次元主義の観点から明確化することである。このテーマについても、国際会議などで発表した。また、論文1本が国際専門誌に掲載された。この第二の課題は、人工物や集団的行為や社会組織の関係をめぐる問題と関わるため、科学活動と技術の発展について考えるための基盤となりうる。そして第三の課題として、四次元主義の観点から存在論と認識論との関係を明確化し、四次元指標主義の立場を定式化した。この四次元指標主義のアプローチは、相対性理論に含まれる哲学的問題とも関わっている。この問題については、アテネで開催された国際哲学会議で発表するとともに、時間と主体の関係についての考察と関連させて関西哲学会の依頼発表を通して考察を深めた。
1: 当初の計画以上に進展している
海外での国際学会で3件の(査読付き)口頭発表、日本国内での国際ワークショップで2件の(査読付き)口頭発表を行った。そして、このうち1件については国際学術誌(Procedia Social and Behavioral Sciences)に採択され、掲載された。以上のように、今年度は国際的・学際的活動において計画を上まわる研究成果が得られた。
平成26年度は、科学哲学に関する新理論の構築に向けてより具体的に研究を続ける予定である。具体的には、科学技術進化論の構想を提案し、この立場と多元的言語論の立場がどのように関わるかを明確にしていく。そしてその研究成果を、国内での学会発表や英語での論文発表としてまとめていく予定である。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)
Procedia Social and Behavioral Sciences
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Greek Philosophical Society & Fisp (eds.) Abstracts of the 23rd World Congress of Philosophy
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Moyal-Sharrock, Munz, V. A. and Coliva, A. (eds.) (2013) Mind, Language and Action: Contributions of the Austrian Ludwig Wittgenstein Society
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T. Yamada (ed.) SOCREAL 2013: 3rd International Workshop on Philosophy and Ethics of Social Reality, Abstracts
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http://kisoron.hus.osaka-u.ac.jp/individuals/achievement%20NY.html
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