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2013 年度 実施状況報告書

メルロ=ポンティ存在論と芸術の位置に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520027
研究機関東京電機大学

研究代表者

本郷 均  東京電機大学, 工学部, 教授 (00229246)

キーワードフランス哲学 / 現象学 / メルロ=ポンティ / クレー / 芸術論 / 「肉」の存在論
研究概要

当該年度に発表した論文「中間領域の創造性について クレーとメルロ=ポンティ」(日本大学経済学部『研究紀要』所収)において、昨年度行ったパウル・クレーについての考察を踏まえつつ、「中間領域」というクレーの概念と、メルロ=ポンティにおける「肉」を「エレメント」として捉える考え方を中心軸として、相互の考え方の確認と比較を行った。
この考察からは、クレーとメルロ=ポンティ両者の間に、とりわけ「創造」をめぐる思考に関して、一つの同調関係があることが確認された。これは、本研究の目的の一つ、すなわち後期メルロ=ポンティの存在論(「肉」の存在論と特徴付けられるものであるが)と芸術とが等根源的であることを示そうとする点の解明に寄与するものであった。
また、「肉」をエレメントとするメルロ=ポンティの思惟の分析と考察からは、肉の隙間と厚みという一見矛盾する性質を、透明にして不透明な媒質、および〈これまで語られたことがない〉という存在様態、すなわち〈現れない〉という存在性格から解釈することを可能に手がかりが得られた。この点も、本研究の目的である、「肉」の存在論の解明という点の解明(いまだ全面的な解明とはおよそ言いがたいが)につながる成果であったと考えられる。
さらに、この論文においては、クレーとリルケの直接の関係を媒介としつつ、クレーにおける音楽の意味を考察した。そして、このことがメルロ=ポンティにおいても同じように妥当するのではないかと考えた。この点は、メルロ=ポンティ自身がほとんど論じていないところであるので、テクスト的な裏付けは弱くならざるを得ないが、傍証的にこの問題に光を当てることができたと考える。その点で、昨年度の研究からさらに一歩先に進めることができたものと思われる。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

上記論文「中間領域の創造性について」において、クレーについての、ある程度のまとまった検討まで立ち入ることができた。当初の目標の内では、マティスについてまで考察を及ぼす予定であったが、残念ながら、ここまでは行い得なかった。クレーについての検討が、主題としては、芸術的な「創造性」と哲学との等根源性についての考察に集中してしまったためであるが、さらにその過程で、「色彩」の問題が当初考えていたよりも重要な意味を持っているものであることに気づかされた。そのため、ゲーテ『色彩論』(クレーも綿密にノートを取りながら参照していることが昨年確認できている)という新たな要素も含みこみながら、マティスにまで考察を及ぼす必要がある。この点で、やや準備不足であったので、当該年度においては、そこまで考察を及ぼすことができなかった次第である。
とはいえ、大きな意味を持っていたクレーの考察と「肉」の存在論とを根本的なところで関連づけた検討を行うことができ、むしろ問題点も浮き立たせることができていることから、上記の評価とした。

今後の研究の推進方策

今後は、まず「色彩」の問題を手がかりにして、クレーとマティスまでについての包括的な検討を行う。とりわけ、色彩の問題は、これまで問題にしてきたセザンヌの絵画とも密接に関わっているので、やや包括的な観点から、しかし、これまであまり論じていなかった面に沿っての検討を行う予定である。
この際、『眼と精神』が依然として有力な参照先となることは言うまでもなく、このテクストの分析検討は、さらに進めなければならない。
また、ハイデガーとの比較検討については、論文という形で発表するまでには至っていないが、進めている。一方で、検討を進めた結果、ハイデガーの思惟とメルロ=ポンティの思惟には、芸術については根本的なところでの齟齬があるものと考えるようになってきている。その点を、もう少し明確にしていきたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

当初の予定よりも旅費が安く上がったため、若干の剰余金が出た。
次年度において、資料の購入および旅費に充当する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 中間領域の創造性について クレーとメルロ=ポンティ2014

    • 著者名/発表者名
      本郷 均
    • 雑誌名

      研究紀要

      巻: 75 ページ: 45-74

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公開日: 2015-05-28  

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