三カ年計画の課題研究「責任論の起源と展開 ―他者論の宗教的基盤の探究―」について、まず2012年度に「他性と否定神学的叙述」として、レヴィナスとデリダの言語論を架橋しつつ、絶対的他者を語る際の否定神学的叙述の可能性を探った。2013年度は、「『悲劇的世界観』と責任論」と題して、彼らの議論をゴルドマンの言う「悲劇的世界観」という概念を用いてパスカルに架橋して、責任論の宗教的基盤を検討する素地を作った。2014年度には、「責任と原罪意識」について、レヴィナスやデリダの法外な「責任」概念が、いかなる宗教的な地歩から導出されうるのかを、パスカル、カントの宗教論、特に原罪意識と結びつけて明らかにした。
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