研究課題/領域番号 |
24520033
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
竹内 綱史 龍谷大学, 経営学部, 講師 (40547014)
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研究分担者 |
関塚 正嗣 諏訪東京理科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00350851)
上野山 晃弘 日本大学, 文理学部, 助教 (00440024)
岡村 俊史 大阪市立大学, 文学研究科, 研究員 (20527733)
五郎丸 仁美 国際基督教大学, 付置研究所, 研究員 (30568845)
鈴木 克成 青森中央学院大学, 経営法学部, 教授 (60279487)
伊藤 貴雄 創価大学, 文学部, 准教授 (70440237)
齋藤 智志 杏林大学, 外国語学部, 教授 (70442019)
高橋 陽一郎 日本大学, 文理学部, 准教授 (80333102)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ニーチェ / ショーペンハウアー / 多元主義 / 普遍主義 |
研究概要 |
2012年8月26日~28日に諏訪東京理科大学にて、第一回研究会を開催。個人発表3本、研究構想発表8本、テクスト講読を行った。 個人発表は、竹内綱史「普遍主義と多元主義、あるいは、ショーペンハウアーとニーチェ」、五郎丸仁美「ニーチェ哲学における多元主義と美学的思考」、本郷朝香「ニーチェの歴史的人間観」の三本であった。竹内発表は、本研究の基調発表として論点整理(理論哲学・実践哲学・美学の三部門それぞれにおける普遍主義と多元主義)を行った後、ニーチェ晩年の方法論(系譜学)が多元主義に基づいた戦略的普遍主義をとっていることについて論じた(その成果は論文「ニヒリズムと系譜学」として公になった(業績表参照))。五郎丸発表はニーチェの多元主義が美学的思考に基づいていることを近代美学の流れをふまえながら詳細に論じた。本郷発表はライプニッツとニーチェの比較から、神の不在によるラディカルな多元化が歴史性を構成するというニーチェ哲学の基本構造を論じた。 上野山晃弘・伊藤貴雄・高橋陽一郎・齋藤智志・岡村俊史・関塚正嗣・鈴木克成・山本恵子の8氏による研究構想発表は、本共同研究で各人がどのような研究を進めて行くかについての構想を発表し、今後の研究について意見交換を行った。普遍主義と多元主義について、ショーペンハウアーとニーチェについて、認識論・芸術論・道徳論・宗教論など様々な側面からの論点が浮かび上がり、多くの議論が交わされた。その一部はすでに論文等に発表されている(業績表参照)。 テクスト講読は、後期ニーチェの著作『善悪の彼岸』序文の原典を丹念に読む作業を皆で行った。当該テクストは、ニーチェの認識論および存在論の基礎にあるパースペクティヴィズムを考える上での最重要テクストであり、ニーチェの多元主義が普遍主義とどう関係するのか、相対主義に陥ってはいないのか等についての議論が深められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究グループは当初の研究計画どおり三部門に分けられている。第一部門は理論哲学、第二部門は実践哲学、第三部門は美学である。三年間の研究期間で、一年目は第一部門、二年目は第二部門、三年目は第三部門を主に扱う予定となっている。 今年度は一年目だったわけだが、第一回研究会での個人発表は、竹内発表は全部門に関わるが主に第一・第二部門の問題を扱い、五郎丸発表は主に第三部門、本郷発表は主に第一部門の発表であった。結果的に全部門にわたる発表内容となったが、議論の焦点は多元性を主張すること自体の普遍主義的性格(「多元性」という普遍的価値の主張)がいかに正当化されるのかという問題であり、理論哲学的な問題が多く議論された。また、三つの発表はすべてニーチェを中心とした発表であったが、それに対するショーペンハウアー側からの批判点も多く出され、多元主義の困難が多く指摘された。 研究会のテクスト講読においてはニーチェのパースペクティヴィズムの中心テクストを読んだ。そこでニーチェは普遍主義(当該テクストにおけるニーチェの言葉では「独断論」)と自らの立場との関係を述べているが、そのテクストの解釈で多くの議論が交わされ、ニーチェ研究者の間ですら解釈が割れる結果となった。研究会の場では結論を出すまで議論を尽くすことができなかったが、本研究を進めて行く上での各人の立ち位置を批判・反省する良い機会となった。 研究会で様々に重ねられた議論は、各人の研究に組み込まれ、次々と論文等になりつつある(業績表参照)。こうした今年度の活動実績は、ほぼ研究計画どおりに進んでおり、次年度以降の研究にも期待が持てる内容であった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続き、年一回の研究会の開催を中心とし、他の学会・研究会やメーリングリスト等で研究成果の共有を図りつつ、各人が研究を進めるという形で進めて行く。 2013年度の研究会は青森中央学院大学で8月上旬に開催することが決まっており、第二部門を中心とした研究発表・ワークショップ・テクスト講読等を予定している。2014年度は夏に日本大学で第三部門を中心とした研究会を開催し、冬には集大成として京都にて講演会ならびにシンポジウムを開催する予定である。 本研究の研究会以外でも、学会や研究会等で本研究グループのメンバーは頻繁に顔を合わせることになる。とりわけ、日本ショーペンハウアー協会の大会(毎年12月)や当協会のニーチェ・セミナー(毎年5月と12月)には、メンバーのほとんどが参加し、メンバー自身の研究発表はもちろんのこと、それ以外の研究報告をめぐる様々な議論も通じて、互いの研究を検討しあう良い機会となっている。 また、メーリングリスト等、インターネットを通じた情報の共有は常時行っており、文献の情報や最新の研究動向等について、意見交換をしながら、各自研究を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究グループの構成メンバーは、研究代表者1名(竹内綱史)、研究分担者8名(関塚正嗣・上野山晃弘・岡村俊史・五郎丸仁美・鈴木克成・伊藤貴雄・齋藤智志・高橋陽一郎)、研究協力者2名(本郷朝香・山本恵子)の11名である。(研究協力者2名の分は竹内から支出する形になる。) 次年度は第二回研究会を青森中央学院大学にて行う(二泊三日)が、メンバー11名にそれぞれ研究会参加のための旅費を配分する。 資料収集代として、メンバー11名に一人30000円ずつ配分する。 研究会開催校である青森中央学院大の鈴木には、開催経費を50000円配分する。
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