| 研究課題/領域番号 |
24520034
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| 研究機関 | 大阪医科大学 |
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研究代表者 |
金山 万里子 大阪医科大学, 功労教授 (10093189)
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| 研究分担者 |
金山 弥平 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (00192542)
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| 研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 哲学 / 倫理学 / 西洋古典 / 正義 / 法律 / 国家 / ソクラテス / プラトン |
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| 研究実績の概要 |
研究代表者は26年度は、「ソクラテスほど知恵のある者はいない」というデルポイ神託に対するソクラテスの解釈の背後には絶対的正義の具現者としての神への信仰、彼の同胞愛、広くは人間愛があることを明らかにし、その流れのもとに、脱獄を勧めるクリトンへのソクラテスの脱獄拒否が表明される『クリトン』解釈に正面から取り組んだ。とくに焦点を当てたのは、『クリトン』第3部の「国法」の議論を、ソクラテス自身の議論として捉えるか、それとも、ソクラテスの真理探求とは別種の、ただ相手を説得することのみを目的とする議論とみなすか、という問題である。代表者は後者の立場を批判し、その解釈を論文として表わすとともに、また2015年10月にチリのサンティアゴで開催された国際シンポジウムでも発表した。
他方、研究分担者は、正義の人ソクラテスの刑死をプラトンが記憶の上でどのように整理し、積極的な哲学的意義を見出しえたかという問題、および広くヘレニズム哲学の懐疑主義において、答えの出ないような考察を進める懐疑主義者がどのようにして正義の行為を成し得たかという問題を軸に据えて考察を進め、論文を発表するとともに、チリのサンティアゴ（2015年10月）、オーストラリアのシドニー（2016年1月）の国際シンポジウムでも発表した。
研究代表者、研究分担者は、以上の諸成果の一部として、チリ、サンティアゴでの国際シンポジウムにおける発表を、国際学術書Soul and Mind in Greek Thought: Psychological Issues in Plato and Aristotle（仮題）で発表すべく、チリの学者たちと連絡をとりつつ、準備を進めている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究面での目的達成度は、昨年同様、かなり高い。すなわち、代表者は24年度～26年度におけるソクラテスの告発の要因、正義と祖国愛、同胞愛の関係、デルポイ神託解釈とソクラテスの人間愛の関係に加えて、27年度は、国法へのソクラテスの態度という観点から研究を進め、また分担者は、記憶や懐疑の問題と関係させて研究を進めた。また代表者、分担者ともに国際シンポジウムでも発表を行った。
しかし代表者のプラトン『ゴルギアス』翻訳は、国際シンポジウムでの発表等に時間をとられたこともあり、進捗状況は「やや遅れている」と言わざるをえない。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究については、1年間の補助事業期間延長を願い出て承認された。これを利用して、先述のSoul and Mind in Greek Thought: Psychological Issues in Plato and Aristotle出版のための作業を行うとともに、研究の精度をさらに高めるべく、代表者は資金面で可能なら、英国、ケンブリッジ大学への出張を行ないたいと思っている。 また研究分担者も、別途資金を工面して、研究成果を国際的に発表し、検証していく計画である。
『ゴルギアス』翻訳についても、京都大学学術出版会での出版を目指し、集中的に作業を進める計画である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた最大の理由は、当初計画を効率的に進めたことである。これにより、およそ25万円、残すことができた。
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| 次年度使用額の使用計画 |
使用計画としては、研究成果の精度をさらに高めるべく、海外に出張し、著名研究者からの意見を聞きたいと思っている。具体的には英国、ケンブリッジ大学が念頭にある。
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