ギリシア哲学における正義論の基本は、ソクラテスの徳(正義)の探求とその結果としての刑死、またプラトンによる師の死の意味づけにある。良き行為による幸福の確保を求める人間にとって、欲望とそれに関わる感情が正義追求の大きな阻害要因となるが、ソクラテスは、個々の人間にとっての正義の意味を、理性的、感情的、社会的に意義づけ、またプラトンは、イデア論とそれに基づく宇宙論を基礎として、正義論を一つの哲学体系として確立した。その具体的あり方を、代表者は特にプラトン『クリトン』の議論を通して、分担者は、プラトンの魂論、認識論、イデア論を通して明らかにしようとした。また代表者は『ゴルギアス』翻訳も進めた。
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