中国哲学における飲食文化について、1)『四庫全書』『道蔵』『術蔵』等の文献を用いて各時代の中国飲食思想の流れを整理、2)『本草綱目』を基本文献とし、日本の『大和本草』、朝鮮の『東医宝鑑』等との比較を試みた。 日本における本草学は一般の人々に必要な情報を分かりやすく提示した身近なものであった。『大和本草』の読者層は広く庶民、また飢饉のときに彼らの救済にあたる村の役人や指導者であったと推察できる。一方で、中国(民)の『本草綱目』の読者層は主に薬物を専門に扱う人々であったと考えられる。日本と中国のみならず韓国における食物本草関連書についての考察も今後の課題である。
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