本件は、16世紀末に東アジアへ到来したイエズス会士の活動に始まる、キリスト教思想の影響について考察したものである。特に、その活動過程の一つの精華である『天学初函』を中心に、そこに見られる「(西洋的)キリスト教概念」がどのように紹介され、また理解・受容されていったのかについて分析を行った。結論としては、その「理解」には限界が見られ、その原因として「文化的基底を為す世界観の相違」を析出した。 また、以上のような「歴史性」を踏まえると同時に、彼らの活動がどのような「現代性」を持っているのかについても現地調査を通して把握を目指した。結果としては、特に台湾に於いて「地域性を背景に持つ習合」が見られた。
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