研究課題/領域番号 |
24520049
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高本 康子 北海道大学, スラブ研究センター, 地域比較共同研究員 (90431543)
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キーワード | 満洲 / 喇嘛教 / 戦時期 / 宣撫工作 / 仏教学 / 蒙疆 / 大陸 / 東アジア |
研究概要 |
学術論文の出版および口頭発表等、本報告書項目13「研究発表」に記載したものを除く、現時点における本研究の実績としては、昨年度に引き続き、以下3点が挙げられる。 1.資料の発見と蓄積。今年度中の収集予定は、ほぼ達成した。特に、昨年度新たに発見した資料(大谷大学所管寺本婉雅資料、愛知県豊橋市浄円寺所蔵近代中国関係資料、埼玉県飯能市鳥居観音近代中国関係資料、東京都練馬区梅森貞氏モンゴル・満洲関係資料)について、資料の整理・収集を継続し、基礎リストを作成した。そのうち、一部の分析結果及び翻刻は、今年度各学会において、研究大会での報告と機関誌への掲載という形で発表を行った。 2.資料調査、情報交換に必要な人脈のより広範囲での確保。昨年度に引き続き、関係各位との国内外における連繋の確保に努力した。国外においては例えば、中国青海師範大学のペマ・ドルジェ氏、中国蔵学中心のテンジン・ティパ氏、アメリカ在住のチベット仏教活仏アキャ・リンポチェなどがある。また、国内においては、金沢大学の森雅秀氏が推進する画像資料研究と連繋しての活動を引き続き行った。また、大谷大学真宗総合研究所嘱託研究員として、寺本婉雅資料の整理分析を行った。更に、龍谷大学龍谷ミュージアムとの連繋において、大谷探検隊関連資料の分析に参加し、次年度予定される展示の目録執筆、公開講演の講師などを担当することとなった。 3.一般への成果発信。学会での口頭発表および論文の出版に加えて、一般社会への成果発信として、以下を行った。すなわち、①滋賀県高島市における青木文教顕彰事業へ、特別講演の講師として参加し、次年度も引き続き担当する。②日本山岳会系の民間団体である横断山脈研究会における講演で講師を務めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由は主に、以下2点による。①昨年度に引き続き、資料の蓄積規模が、研究計画当初の予定を大きく超えていること。国内においては昨年度にコンタクトした、未公開個人コレクション資料の資料数は、調査開始当初の予想を超える多数にのぼった。調査整理は順調に進捗しているが、残部の概観からは、更にその資料数は大きくなるものと推定される。②連繋・協力をはかることができる人脈の予定以上の拡大。上記①と同様に、海外との連繋は、資料収集の規模を大きく展開する基礎となった。特に中国青海および熱河等の寺院における現場との人脈確保、アメリカにおけるコレクションへのアクセスが可能になるキーパーソンとの連繋確保は、今年度における非常な成果であったと言える。次年度はこれにより、海外における調査の展開が今年度以上に必要になると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画以外に付け加えるべき、次年度の研究推進方策としては、以下2点が挙げられる。 ①関連する研究会・ワークショップの開催。予定しているのは以下である。( )内は参加予定の研究者がフィールドとする分野。a.大陸関係資料の横断的活用研究(東洋史、日本史、教育史、経済史、チベット文化研究、日本密教研究)。b.近代におけるチベット仏教の表象研究(ロシア文化史、インド文化史、イギリス文化史、チベット文化研究、日本史、東洋史、密教研究)。 ②資料の復刻および目録・解題・解説の出版。和文のものは、昨年度に引き続き取り組む課題となるが、英文による目録・解題出版は、海外における本研究活動に必須のものとなると思われるため、次年度特にこの実現に努力したい。
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