本研究課題は、4年間で次の (1) (2) (3) の三種類のテクストについて、校定研究を並行して行うことを目的とする: (1) 『如来出生アヴァダーナマーラー』(略号 TJAM); (2) 『善説語・大ラトナ・アヴァダーナマーラー』(略号 SMRAM); (3) 『菩薩のアヴァダーナの如意鬘』(略号 BAKL)。これらの達成目的は平成24年4月の交付申請書に記したとおりであり、変更はない。 研究期間の4年目の、平成27年度の研究は予定どおりに進捗し、以下の成果を得た。 上記の (1) の研究として: TJAM の第3章『釈迦族の起源と成立』と第4章『コーリヤ族の起源とマーヤー妃の嫁入り』の二つの章について梵文校定テクストと全文和訳を行い、それを『南アジア古典学』第10号(2015年7月)に載せた私の論文の第二部(pp. 24-81)に発表した。 上記の (2) の研究として: 『南アジア古典学』第10号の私の論文の第三部(pp. 82-104)において、SMRAM 第38章『スールヤ・アヴァダーナ』の梵文校定テクストと『アヴァダーナシャタカ』第69章『スールヤ』の和訳を発表した。そしてSMRAM 第38章のテクストと、その章の源泉資料と思われる『アヴァダーナシャタカ』第69章との比較を行った。 上記の (3) の研究として: BAKL 第83章『ラーフラの「業の連繋」アヴァダーナ』の梵文校定テクスト・チベット訳の校定テクスト・和訳を『南アジア古典学』第10号の私の論文の第一部(pp. 1-23)において発表した。
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