研究課題/領域番号 |
24520056
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 種智院大学 |
研究代表者 |
SHAKYA Sudan 種智院大学, 人文学部, 講師 (60447117)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ネパール仏教 / 仏教写本 / ネワール語 / 梵語・ネワール語混成写本 / スヴァヤンブー・プラーナ |
研究概要 |
本研究は「梵語および梵語・ネワール語混成の写本から見るネパール仏教の特徴について」をテーマとし、ネパールにおける現地調査と文献解読を通して、インドから直接伝播してきた「ネパール仏教」の特徴を明らかにすることを目的としている。 平成24年度では、まず、ネパール仏教の特徴を知る上で最も重要な文献と見なされている『スヴァヤンブー・プラーナ』という文献を中心に文献研究を進めてきた。特に、ケンブリッジ大学所蔵のサンスクリット語とネワール語の混成の写本(Add.1469)を解読・翻訳を行い、内容の分析を進めて来た。その成果の一部を平成24年度9月に花園大学に開催されて「日本佛教学会2012年度学術大会」にて「文殊菩薩の信仰をめぐって」というテーマで発表した。 また、平成25年2月9~20日まで、ネパールのカトマンズ盆地のゴールデン・テンプルという仏教寺院に現地調査を進め、そこで用いられている諸写本、法具、図像などの写真と動画の撮影を行った。さらに、今回はネパールに現存する仏教写本で、個人所蔵の現状を調査することもできた。写本は、個人蔵を含め約200本あり、『八千頌般若経』をはじめとする大乗・密教経典から宗教儀礼に関する修法次第も多く存在する。その中、梵文・ネワール語混成の写本も含まれている。今後、それらを撮影・複写し、所蔵記録とともに研究資料として扱えるようにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献研究において、『スヴァヤンブー・プラーナ』の内容を考察と共に文献のテキスト化が順調に進んでいる。『スヴァヤンブー・プラーナ』は『ナーマサンギーティ』とも深い関わりを持つため、これまで進めてきた『ナーマサンギーティ』研究も活用することができた。そのため、「文殊菩薩の信仰をめぐって」というテーマで発表し、『日本仏教学会年報』第78号に論文を掲載した。 また、現地調査の対象として、今回「ゴールデン・テンプル」寺院をとりあげた。この調査においては、地元の人びとから多くの協力を得ることができた。また、今回の現地調査のもう一つ成果として、新たに個人所蔵の写本の調査ができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、『スヴァヤンブー・プラーナ』の文献研究とともに現地調査で収集した資料の整理・解読を進めていく。さらに、ネパールにおける現地調査を実行していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年と同様、『スヴァヤンブー・プラーナ』の解読を引き続き行ない、その内容を分析する。本研究の第2年目に、再びネパールに流布する宗教儀礼の第2回調査を行ない、そこで用いられる写本類、法具、図像などを記録し、コンピュータをはじめとする、いろいろな資料として活用できるようにする。また地元の僧侶や有識者よりそれらの意義について聞き取り調査する。これらの調査で得られた資料の整理と分析を行い、ネパール仏教の特徴を検証する。得られた成果は、学会や、研究雑誌等へ論文掲載の形で発表する。
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