研究課題/領域番号 |
24520056
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研究機関 | 種智院大学 |
研究代表者 |
SHAKYA Sudan 種智院大学, 人文学部, 講師 (60447117)
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キーワード | ネパール仏教 / スヴァヤンブー・プラーナ / ネワール語写本 / ウシュニーシャヴィジャヤー / ヴァスダーラー / ジャンク―長寿祝賀儀礼 / サプタヴァーラダーラニー / 密教儀礼 |
研究概要 |
本研究は「梵語および梵語・ネワール語混成の写本から見るネパール仏教の特徴について」をテーマとし、ネパールにおける現地調査と梵語および梵語・ネワール語混成の写本の文献解読を通して、インドから直接伝播してきた「ネパール仏教」の特徴を明らかにすることを目的としている。 平成25年度では、引き続き、ネパール仏教の特徴を知る上で最も重要な文献と見なされている『スヴァヤンブー・プラーナ』という文献を中心に文献研究を進めてきた。特に、ケンブリッジ大学所蔵のサンスクリット語とネワール語の混成の写本(Add.1469)の解読・翻訳を行い、内容の分析を進めて来た。その成果の一部を平成25年度6月に陝西師範大学宗教研究センター主催の「第二届中国密教国際学術研討会」という国際学会にて「ネパール現存の梵語・ネワール語混成の密教文献について」と題する研究発表を行った。さらに、 平成26年2月5~20日まで、ネパールのカトマンズ盆地の仏教寺院において現地調査を進めた。特にネパール仏教独自の儀礼で、77歳、88歳、99歳を祝う「ジャンク」と呼ばれる儀礼の際に用いられている諸写本、マンダラなどの調査を行った。さらに、昨年に引き続きネパール現存の仏教写本で、個人所蔵の現状の調査も進めてきた。所有者の許可を得て、それらを撮影し所蔵を記録する作業を始めた。それらを最終的に研究資料として扱えるようにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献研究において、『スヴァヤンブー・プラーナ』の内容の考察と共に文献のテキスト化を順調に進めている。『スヴァヤンブー・プラーナ』にも言及され尚かつ、「サプタヴァーラダーラニー」(七種の陀羅尼集)含まれている持世(ヴァスダーラー)菩薩及び仏頂尊勝母(ウシュニーシャヴィジャヤー)の関連文献の研究を進めてきた。いずれも長寿を祝う「ジャンク」呼ばれるネパール仏教の特徴を示す儀礼と関わるものである。 また、今回も「ゴールデン・テンプル」に加え「ブ.バハー」寺院において現地調査を進めた。この調査においては、地元の人びとから多くの協力を得ることができた。また、今回は特にそれらの寺院所属の僧侶達から今日の仏教儀礼に用いる個人所蔵の写本の複製を提供していただいた。その中では、上記に取り上げた「ジャンク」関連の資料も含まれている。これらはこれまで公開されてない資料であり、ネパール仏教と同時にインド仏教全体を研究する上でも貴重なものであると考える。
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今後の研究の推進方策 |
前年と同様、『スヴァヤンブー・プラーナ』の解読を引き続き行ない、その内容を分析する。本研究の第3年目に、再びネパールに流布する宗教儀礼の第3回調査を行ない、そこで用いられる写本類、法具、図像などを記録し、それらを研究資料として活用できるように電子化を進める。また地元の僧侶や有識者よりそれらの意義について聞き取り調査をする。さらに、ネパールにおいて、特にヴァスダーラー、ウシュニーシャヴィジャー、ターラー女尊関連の儀礼の文献解読と現地調査も実行していく。 これらの調査で得られた資料の整理と分析を行い、ネパール仏教の特徴を検証する。今年はこれまで得られた成果の一部をイスラエルんのヘブライ大学で開催されるChinese and Tibetan Tantric Buddhismを題とする国際シンポジウム(2014.06.16-18)及びオーストリアのウィーン大学で開催される国際仏教学会(IABS, 2014.08.17-23)において発表し、論文を掲載する予定である。
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