研究課題/領域番号 |
24520058
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
桂 紹隆 龍谷大学, 文学部, 教授 (50097903)
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キーワード | ディグナーガ / ジネーンドラブッディ / 集量論 / 集量論複注 / 仏教論理学 / 仏教認識論 |
研究概要 |
本プロジェクトは、ジネーンドラブッディの『集量論複注』第4章・第6章の梵語写本の研究を主たる目的としているが、第4章については約半分、第6章については、筑波大学の小野基教授らの協力をえて、ほぼ全体の校訂・翻訳作業を終えた。該当箇所に対応するディグナーガの『集量論』本文の梵語テキストの再構築と翻訳も並行して行っている。『集量論複注』の校訂テキストは、既に出版されている第1章・第2章と同様に、中国臓学研究中心とウィーン大学が共同で編集しているシリーズから、平成27年度以降に出版する予定である。これらの成果は、インド論理学および仏教論理学の研究の発展に寄与するところ大である。 平成25年度には、4月に京都大学の出口康夫准教授と共同で"Ontology of Asian Philosophy:Perspectives from Buddhist Study and Analytic Philosophy"という国際ワークショップを開催した(龍谷大学アジア仏教文化研究センター共催)。海外からもティレマンズ、ガーフィールド、シデリッツ、林鎮国など第1線の研究者があつまり、有意義であった。 7月には、ベルギーのヘント大学で開催された"From Abhidhamma to Abhidharma"という国際会議に出席し、海外の主要なアビダルマ研究者の最新の研究報告に接し、知見を広めることができた。 秋以降は、『集量論複注』第4章の研究会とは別に、一郷正道・早島理・沖和史氏らとともに、ラトナーカラシャーンティの『般若波羅蜜論』の梵語原典の読書会を開始した。ジネーンドラブッディ以降の仏教認識論・論理学を視野に入れた研究とするために必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べたように、ジネーンドラブッディの『集量論複注』の第4章については約半分、第6章については、筑波大学の小野基教授らの協力を得て、ほぼ全体の校訂・翻訳作業を終えている。該当箇所に対応するディグナーガの『集量論』本文の梵語テキストの再構築と翻訳も並行して行っている。したがって、おおむね順調に進展していると言える。のこり一年の研究期間に当初の目的を達成することができると考える。
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今後の研究の推進方策 |
残り一年も、これまでと同じように『集量論複注』第4章の研究会を定期的に開催し、校訂・翻訳の完成を目指すと同時に、『般若波羅蜜論』の読書会をも継続して行く予定である。 当初の研究計画を変更する必要は特にない。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度には、本プロジェクトのレビューを受けるため、また研究成果の出版打合せのためにオースリア科学アカデミーを訪問する予定であった。また、モントリオール(カナダ)のマギール大学のブレンダン・ギロン教授を訪ねて、共同研究を行う予定であったが、いずれも諸般の事情で行うことができなかったため、当初予定していた海外旅費を消費することができなかった。 平成26年度には、8月にウィーン大学で開催される国際仏教学会、引き続きハイデルベルク大学で開催される国際ダルマキールティ学会に出席する(海外旅費)。さらに、オーストリア科学アカデミーのホルスト博士を1ヶ月招聘して、本プロジェクトの完成に協力していただく(招聘旅費)。また、タイ国在住の研究者サルヴィニ博士を1週間招聘し、共同研究する予定である(招聘旅費)。
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