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2012 年度 実施状況報告書

幕末維新期の長州真宗僧に関する史料と口承による総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520067
研究種目

基盤研究(C)

研究機関山口県立大学

研究代表者

安溪 遊地  山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (50149027)

研究分担者 井竿 富雄  山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (10284465)
鈴木 隆泰  山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (20282709)
岩田 真美  龍谷大学, 文学部, 講師 (90610642)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード仏教 / 幕末維新 / 長州 / 廃仏毀釈 / 浄土真宗 / 足尾鉱毒事件 / 月性 / 島地黙雷
研究概要

フィールドワークを実施し、人間的な信頼関係の醸成につとめ、それに基づいて今後の研究を深めるきっかけとなった。具体的には、2012年9月、山口県出身の真宗僧、島地黙雷ゆかりの願教寺を盛岡市に訪ね、これまでに学界に知られていなかった、足尾鉱毒被害者の意見書などの史料の閲覧・複写を許され、膨大な日記などとあわせて、仏教僧のはたした社会的役割についての知見を深めた。2013年3月、柳井市大畠遠崎に、僧月性ゆかりの妙円寺と、周防大島町久賀の覚法寺をたずね、関連する史料を閲覧した。さらに山陽小野田市の浄慶寺をたずね、学界未紹介の島地黙雷関連の手紙や写真の閲覧と複写を行った。
調査結果の地域への還元についても積極的に実施した。研究代表者の安渓遊地は、2012年9月15日、下関市豊田町で山口県立大学国際文化学部の公開講座として実施した。2012年12月15日には、柳井市図書館において柳井市郷談会の主催によって実施し、香川葆晃ゆかりの宍戸家の墓所などのフィールドワークもおこなった。2013年1月29日に、あらたな試みとして山口県立大学において、科研費セミナーを実施した。ゲストの科研費チームとしては「生き方死に方を考える社会フォーラム形成のための社会実験」(挑戦的萌芽的研究No.22653055) から大村英昭大阪大学名誉教授を招いて「社会的実践と仏教~他人事から自分事へ~」と題するフォーラムを地域公開で行った。科研費メンバー全員と、研究協力者としての児玉識水産大学校名誉教授の参加を得て、仏教と仏教者の社会的役割についての積極的な意見交換をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

地域に埋もれた史料や伝承の発掘と再評価をめざす当初の計画は、関連寺院において、従来の研究者への対応から予想される程度をうわまわる協力が得られたことにより、従来知られていなかった史料の発掘や、貴重な聞き取りを得ることができた。よりくわしい分析などの課題は当然残っているが、初年度の計画を上回る結果が得られたといえる。

今後の研究の推進方策

8-9月に、盛岡市願教寺を再訪して、島地黙雷の膨大な日記を中心に、明治期の仏教僧の社会的役割、とくに、公害被害者、震災被害者の救援における具体的な役割やそれをとりまく人脈などについて、記録を進める。あわせて、吉田松陰が倒幕論になるにあたって強い影響を与えたと言われる、真宗僧・宇都宮默霖ゆかりの、呉市専徳寺が所蔵する膨大な石泉文庫の内容について、これまで学界では体系的に利用することがほとんどできなかった史料であることから、この文庫を創設した僧石泉の手稿を含めてその全貌を明らかにすることをめざしている。あわせて、各研究分担者がそれぞれのテーマについて、記録の分析と考察を進める予定である。適切な索引を伏して、主要なもののデジタル化をはかり、DVDロム等の形で、閲覧が容易になるように、史料の保存と活用のために積極的に協力していく予定である。
許可がえられば、これらのスキャニングを行う予定であるが。膨大な量であるため、高速のスキャナーの借用や、学生アルバイトを雇用してのスキャンをおこなうことになる。初年度と同様、研究成果の地域への還元のため、シンポジウムなどをおこなうとともに、最終年度には、収集した史料を画像としてDVDロムとして作成して配布する予定である。また、若干の図書史料を購入する予定である。

次年度の研究費の使用計画

史料と伝承探訪のフィールドワーク旅費を中心に、研究協力者の参加も求めて、72万円程度を使用する予定である。物品費は本年度とほぼ同じ22万円程度、謝金は、膨大な史料のスキャンのための人件費を含んで10万円程度、その他はレンタカー費などであるが、本年度とほぼ同じ18万円程度を予定している。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (7件) 学会発表 (8件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 資料紹介:島地黙雷ゆかりの願教寺所蔵の足尾鉱毒事件関係書類2013

    • 著者名/発表者名
      安渓遊地・井竿富雄
    • 雑誌名

      山口県立大学学術情報

      巻: 6 ページ: 59-83

  • [雑誌論文] What the Preachers of the Suvar.naprabhaasa Resolved in the Kamalaakara-parivarta2013

    • 著者名/発表者名
      SUZUKI Takayasu
    • 雑誌名

      Journal of Indian and Buddhist Studies

      巻: 130 (61-3) ページ: 85-92

  • [雑誌論文] Dam pa'i chos pad ma dkar po (VIII), dGe slo^n l^na brgya lu^n bstan pa'i le'u (Saddharmapu.n.dariika (VIII), Pa~cabhik.su^satavyaakara.naparivarta): Romanized Transliteration from the Phug drag Manuscript Kanjur2013

    • 著者名/発表者名
      SUZUKI Takayasu
    • 雑誌名

      Bulletin of the Graduate Schools, Yamaguchi Prefectural University

      巻: 14 ページ: 1-9

  • [雑誌論文] 花田仲之助の報徳会運動――山口県を中心に2013

    • 著者名/発表者名
      井竿富雄
    • 雑誌名

      山口県立大学国際文化学部紀要

      巻: 19号 ページ: 19-28

  • [雑誌論文] 十九世紀の真宗とキリスト教――自他認識をめぐって2013

    • 著者名/発表者名
      岩田真美
    • 雑誌名

      真宗学

      巻: 127号 ページ: 74-95

  • [雑誌論文] 体験とことば ―真理に至る手段を伝える2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木隆泰
    • 雑誌名

      『中外日報』27790「論・談」

      巻: 27790号 ページ: 5面

  • [雑誌論文] 近代移行期における真宗思想の一断面――超然の護法思想を中心に2012

    • 著者名/発表者名
      岩田真美
    • 雑誌名

      龍谷大学論集

      巻: 480号 ページ: 28-52

  • [学会発表] 『金光明経』における懺悔と讃歎

    • 著者名/発表者名
      鈴木隆泰
    • 学会等名
      日本印度学仏教学会
    • 発表場所
      鶴見大学
  • [学会発表] 『金光明経』「懺悔品」の解明

    • 著者名/発表者名
      鈴木隆泰
    • 学会等名
      第6回山口県立大学学術研究会平成23年度研究創作活動優秀研究発表
    • 発表場所
      山口県立大学
  • [学会発表] 地域研究から商売・自然保護・選挙に深入り

    • 著者名/発表者名
      安渓遊地
    • 学会等名
      公共民俗学研究会・第8回ワークショップ「『実践』と関わる研究者のポジショナリティ」
    • 発表場所
      九州大学箱崎文系キャンパス
  • [学会発表] 幕末維新期における真宗護法論―近世から近代への仏教思想の展開

    • 著者名/発表者名
      岩田真美
    • 学会等名
      第一回「仏教と近代」研究会
    • 発表場所
      龍谷大学
  • [学会発表] 近代と真宗――キリスト教との出会いを通して

    • 著者名/発表者名
      岩田真美
    • 学会等名
      真宗学研究学会
    • 発表場所
      岐阜聖徳学園大学
  • [学会発表] 近代における仏教者のキリスト教観――島地黙雷・大等を中心に

    • 著者名/発表者名
      岩田真美
    • 学会等名
      日本宗教学会
    • 発表場所
      皇學館大学
  • [学会発表] 幕末維新期における真宗僧のキリスト教観」(シンポジウム「近世仏教とその彼方――他者としてのキリスト教と思想の再編成」)

    • 著者名/発表者名
      岩田真美
    • 学会等名
      佛教史学会
    • 発表場所
      龍谷大学
  • [学会発表] 19世紀における真宗とキリスト教との交渉」 (シンポジウム「日米の真宗学研究の現在」)

    • 著者名/発表者名
      岩田真美
    • 学会等名
      第4回龍谷大学国際シンポジウム
    • 発表場所
      南カリフォルニア大学
  • [図書] 青山社2013

    • 著者名/発表者名
      井竿富雄(分担執筆)
    • 総ページ数
      199
    • 出版者
      星座としての国際文化学
  • [備考] 科研費交流セミナー・社会的実践と仏教 ~他人事から自分事へ 大村英昭児玉識来たる!

    • URL

      http://ankei.jp/yuji/?n=1837

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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