本研究は宗教的文化統合という仮説的概念を使用し、メキシコ低地マヤの一カトリック村落マニの社会構造、時間・空間感覚、経済的態度、儀礼慣習を長期にわたり集約的にかつ個人・集団の両面から厳密に調査することによって、メキシコ中南米におけるカトリシズムの現実を解明することであった。 その結果、マニのカトリシズムはマヤ・カトリシズム複合体であること、また、その存続変容の過程では宗教的理念にもとづく内調整(inner adjustment)が強く働き、人々の暮らしの全面において彼らの思考と行動を強く方向づけていることを解明した。この成果は後述する和文(323頁)・欧文(224頁)の報告書に総括した。
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