19世紀後半以降、中国におけるキリスト教は中国社会からの反発を受けながらも、教育、出版事業を通して国民精神とナショナリズムの形成に寄与することを使命のひとつとした。本研究はこうしたキリスト教側の意図に注目し、この意図が1920年代の反キリスト教運動、教育権回収運動の中で中国社会から拒絶されるまでの経緯を明らかにし、拒絶に遭遇した宣教師たちが自らの「帝国主義的特権性」に気づかされ、彼らの伝道活動認識に変化が生じてゆく過程を、これまであまり使用されてこなかったミッションアーカイブを用いて考察した。同時に、この過程にはキリスト教の国家超越性が中華ナショナリズムに屈する側面が含まれることを示唆した。
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