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2013 年度 実施状況報告書

古代キリスト教思想におけるフィランスロピア概念の受容史

研究課題

研究課題/領域番号 24520072
研究機関関西学院大学

研究代表者

土井 健司  関西学院大学, 神学部, 教授 (70242998)

キーワード新約外典 / アレクサンドリアのクレメンス / フィランスロピア
研究概要

平成25年度は、まず新約外典におけるフィランスロピア概念の用例をすべて検討し、研究を公刊した。研究の結果、1)新約外典は2世紀の文献とは限らず、5世紀あたりまでを含むものであるが、14例が確認された。2)フィランスロピアを使った用例は確認できるものの、フィランスロピア論を展開する文書はなかった。3)皇帝について使用されるものもあるが、12例はキリストについてフィランスロピアを述べるものであった。その際、救済の働きをもとにこの概念が使われていることが分かった。なお救貧との関連でこの概念を使う用例は確認されなかった。
またアレクサンドリアのクレメンスにおけるフィランスロピア論を研究した。クレメンスにおいては84の用例が確認され、すべてを検討した結果、クレメンスにおいてはフィランスロピア論ともいうべき一定の思想が存在することが分かった。従ってフィランスロピア概念を分析するための主体・客体・意味の三つの視点から検討する方法では不十分であり、全体としてクレメンスのフィランスロピア論をまとめて考察する必要がある。
クレメンスにおいてフィランスロピア論というべきものが確認できるのは、おそらくフィロンの影響であると考えられるが、さらに検討すると84例のうち69例がクレメンス独自の用例として認めることができる。律法のフィランスロピア、人間のフィランスロピアの他、大半を占める57例は神のフィランスロピアを語るものであった。a)神の本質・本性として、b)神の働き、c)公平性、d)神のフィランスロピアは表面的な優しさだけでなく、厳しさを有する、e)フィランスロピアは神の受肉を指し、それはフィランスロピアの極みとなる、以上の意味があった。また救貧の文脈でフィランスロピアを使う例も見出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では、平成25年度はオリゲネスのフィランスロピア論を研究する予定であったが、この課題は平成26年度に持ち越されている。遅滞の理由は、新約外典のフィランスロピアの用例をあらたに検討し、論文を執筆したためであり、またアレクサンドリアのクレメンスにおいて単なる用例ではなく、フィランスロピアを巡ったひとつの思想が存在することが確認されたためである。つまり単純に用例検討するだけではすまず、思想解釈が必要となったからである。

今後の研究の推進方策

アレクサンドリアのクレメンスについて論文化せねばならないので、まず論文執筆の時間が必要となるが、オリゲネスに関する研究も並行して進めて行く予定である。

次年度の研究費の使用計画

当初の計画にあったオリゲネス関連の文献購入が滞ったため。
オリゲネス関連の研究文献を適宜購入していきたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 新約外典文書におけるフィランスロピアの用例2014

    • 著者名/発表者名
      土井健司
    • 雑誌名

      神学研究

      巻: 61 ページ: 145-152

  • [学会発表] アレクサンドリアのクレメンスにおけるフィランスロピア論

    • 著者名/発表者名
      土井健司
    • 学会等名
      神学研究会
    • 発表場所
      関西学院大学

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公開日: 2015-05-28  

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