古代キリスト教における「フィランスロピア」概念の受容史は以下のようになる。2世紀の使徒教父、弁証家においてこの概念はキリスト教独自のものと捉えられていないが、フィロンの影響を受けたアレクサンドリアのクレメンスにおいてはじめてフィランスロピア論が形成された。キリストの救済の働き、さらに救貧を含む愛の業に使われている。また3世紀半ばのキュプリアヌスの疫病関連文書では、信徒の看護の働きについて類縁概念のフィラデルフィアが使われ、4世紀初頭の同様の記事におけるフィランスロピア概念の使用につながる。これらが受肉論を含めたカッパドキア教父の救貧としてのフィランスロピア論の背景にあっと確認された。
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