本研究は、「狂歌」に関わる人々が江戸期の地域文化の形成に果たした役割を多角的に検証するものであり、狂歌人に代表される広義の「学問者」の「知」の構造を思想史的・文芸社会史的に考察することを目的とした。 「狂歌」を特筆したのは①「狂歌」が様々な書物等を前提とした幅広い教養の上に立って作成されていたからであり②全国的なネットワークを通じて狂歌人が地域に多様な人的・物的資源をもたらしており地域文化形成への貢献度が高いからである。 こうした「狂歌」や狂歌人についての検証から導出された知見は、江戸期の地域文化の再評価のみならず、現今の地域社会再編成の潮流に文化面での視座を提供するものである。
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