研究課題/領域番号 |
24520080
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
伊藤 聡 茨城大学, 人文学部, 教授 (90344829)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 雑書 / 中世文化 / 神道書 / 通俗仏書 / 兵法書 / 偽書 |
研究概要 |
本研究は中世文化における周縁テキスト(神道書、通俗仏書、兵法書、医書、占法書等)=「雑書」の文化史的、思想史的意義を総合的に研究しようとするもので、これらに関する一次資料を調査、撮影を通じてデータを収集、それらを整理・分類したデータベースを構築しようとするものである。本年度の主たる事業は、全国の資料保存機関に収集される雑書の調査、撮影であった。 今回実施し得たのは、島原市図書館松平文庫(長崎県島原市)、西福寺(京都府井手町)、勧修寺(京都市)、真福寺(名古屋市)、善通寺(香川県善通寺市)である。松平文庫では神道書・通俗仏書及び兵法書、西福寺では神道書、勧修寺では中世の偽書、真福寺では密教関係書、善通寺では通俗仏書・密教関係書について書誌調査、撮影を行った。このうち西福寺の調査は、計画立案時には調査対象地と考えていなかったが、機会に恵まれ調査した結果、本研究とも深く関わる、神道灌頂資料一式が残されていることが判明したので、3度にわたり調査、撮影を行った(来年度以降も継続の予定)。 以上の調査によって得られた資料の一部を使用し、発表「神道灌頂の形成」(立教大学日本学研究所主催国際シンポジウム「日本学の現在と未来」2012年12月4日)を行い、論文「臨終と魔」(小峯和明編『東アジアの今昔物語集―翻訳・変成・予言』勉誠出版、2012年7月)、「勧修寺蔵『大日如来金口所説一行法身即身成仏経』―翻刻と解題」(『勧修寺論輯』八、2012年7月)、「神道の形成と中世神話」(『日本思想史講座2―中世』ぺりかん社、2012年7月)、「天文年間における吉田兼倶の山口下向をめぐって」『文学』13-5、2012年9月)、「「若梵若聖偈」の形成と享受」(千本英史編『「偽」なるものの「射程」―漢字文化圏の神仏とその周辺』アジア遊学161、2013年3月)を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査、撮影については、調査地が事前の予定とは違っていたものの、おおむね順調に進んでいる。特に松平文庫、西福寺の調査に際しては、調査補助者数人を同行できたことで、調査は大いに進捗した(研究費から旅費を負担)。 但し、収集データの整理・入力については、当初学部生・大学院生等に依頼することを考えていたが、人員の調整が付かず、データ打ち込み作業等が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
翌年からの継続として、資料採訪を行う。調査資料の中心を軍書より、伝統医学・民間宗教書類に移して調査を行う。調査地は、前年度に行った島原市図書館松平文庫(長崎県島原市)、西福寺(京都府井手町)、勧修寺(京都市)、善通寺(香川県善通寺)に加え、高野山大学図書館(和歌山県高野町)、蓬左文庫(名古屋市)、京都大学図書館(京都市)等を予定。前年度に引き続き、調査データを整理し、パソコンに入力する。 基礎となるデータベースの作成を行ない、それら書物の個別、全体的検討を進め、最終年度には知のありようを位置づけけることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
①調査旅費・滞在費(調査補助者の費用も含む)。調査予定地は、四国(2回)、高野山、九州、京都(2回)、名古屋(2回)。 ②調査研究に必要な研究書・資料・電子データ等。 ③調査に同行する補助者の旅費(京都及び九州を予定)。 ④コピー用紙等消耗品
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