研究課題/領域番号 |
24520080
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
伊藤 聡 茨城大学, 人文学部, 教授 (90344829)
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キーワード | 雑書 / 中世文化 / 神道書 / 通俗仏書 / 偽書 / 医書 |
研究概要 |
本研究は中世文化における周縁テキスト(神道書、通俗仏書、兵法書、医書、占法書等)=「雑書」の文化史的、思想史的意義を総合的に研究しようとするもので、これらに関する一次資料を調査、撮影を通じてデータを収集、それらを整理・分類したデータベース を構築しようとするもので、前年度に引き続き、各種所蔵機関での調査、撮影を行った。 今回実施し得たのは、善通寺(香川県善通寺市)、安住院(岡山市)、西福寺(京都府井出町)、真福寺(名古屋市)、豊田市郷土資料館(豊田市)であった。善通寺・安住院では通俗仏書・密教関係書について調査を行った。西福寺では神道灌頂に関わる聖教及び絵画・道具類について調査・撮影を行った。また、真福寺・豊田市郷土資料館では、中世の密教医学関係資料を特に調査した。 以上の調査によって得られた資料の一部を使用し、発表「幻視される始原――両部・伊勢神道における天地創成説」(古代文学会、2013年7月6日)、「夢告と観想―鎌倉時代における僧たちの伊勢参宮」(国際日本文化センター国際シンポジウム「転換期の伊勢」、2013年7月26日)、「鎌倉時代における僧徒の参宮と神道説の形成」(日本宗教学会、2013年9月7日)、講演「カミ信仰から「神道」へ」(清泉女子大大学、2013年12月11日)を行い、論文「神道灌頂の形成」(『立教大学日本学研究所年報』10・11、2013年7月)、 「秘儀としての注釈」(『岩波講座日本の思想 第七巻 儀礼と創造』2013年12月)、「幻視される始原―中世神道書における天地創成説」(『古代文学』53 2014年3月)、「中世神道・神祇信仰の観点からみた説話研究」(『説話文学研究』4、2013年7月)、「神道」研究史管見」(『日本思想史学』45、2013年9月)、「カミ信仰から「神道」へ」(『創』〔清泉女子大学文化史学会〕47、2014年3月)を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査、撮影については、おおむね順調に進んでいる。ただし、予定していて行くことができなかかった調査地も多い。いっぽう収集データの整理・入力については、データ打ち込み作業等が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度からの継続として、資料採訪を行う。最終年度なので、調査し得た資料群の個別、全体的検討を進める。その一環として、8月のEAJSリュブリアナ(スロベニア)大会における、中世の仏教医学に関わる資料についての発表、12月の仏教文学会例会(奈良女子大学)における西福寺所蔵神道灌頂関係資料の報告を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入予定の物品の当初の予定価格との差額が生じたため。 来年度の物品購入費の一部に宛てる。
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