研究課題/領域番号 |
24520083
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
小関 武史 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (70313450)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / フランス / 『百科全書』 / 地理 / 典拠調査 |
研究概要 |
本研究は、『百科全書』の地理関係項目の典拠候補である五つの文献を順次調査することにより、段階的に遂行する計画を立てている。平成24年度には、ヴォジヤン『携帯地理事典』1749年版、八折1巻、およびブリュザン・ド・ラ・マルティニエール『地理大事典』1739-1741年版、二折6巻について、調査を実施した。 第一の文献(ヴォジヤン)の調査により、初期段階においてディドロがとくにヴォジヤンを利用しているという仮説はかなりの程度まで実証された。しかし、二つの事典に含まれる地理項目が見出し語のレベルで完全に一致しているわけではない。『携帯地理事典』所収の項目が『百科全書』に取り入れられていないケースも散見される。その法則性については、他の文献をさらに綿密に検討しない限り、断定的なことが言えない。 第二の文献(ブリュザン)は、大事典を名乗るだけのことはあり、項目の数が非常に多いうえに、記述が非常に詳細に及んでいる。それらは『百科全書』の地理項目の内容をカバーしているとはいえ、直接の典拠として参照されたと断じるには不十分であるという印象を受けた。つまり、ブリュザンと『百科全書』の間に他の文献が介在している可能性が高いように思われる。 平成25年3月28日と29日の両日に、パリ第七大学においてディドロ生誕300年記念シンポジウム「啓蒙の工事現場:デジタル化時代の『百科全書』」が開かれた。私はこのシンポジウムに招待され、フランス語で研究報告を行った。また、シンポジウムに参加した各国の18世紀研究者と交流を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に従って、平成24年度にはヴォジヤンの『携帯地理事典』とブリュザンの『地理大事典』を対象として、『百科全書』の地理項目との対応関係が存在するかどうかを調査した。その進行状況は、当初計画で想定していた通りである。その一方で、平成25年度以降に行う予定にしていた文献調査を前倒しで実施するほどの余裕は得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は計画通りに研究を進めることができたので、平成25年度についても同様に文献調査を進める所存である。具体的には、『トレヴー事典』1743年版、二折6巻、同1752年版、二折7巻、およびモレリ『歴史大事典』1732年版、二折6巻の調査を行う。後者については、夏期休暇を利用してフランス国立図書館で現物を実見する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年3月19日から同年4月3日にかけてフランスに出張したが、出張が複数年度にまたがったため、4月分の現地滞在費用については平成24年度分の助成金では処理することができなかった。その結果、未使用額が生じた。未使用額については、上記出張旅費のうち平成25年4月分に充当する。
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