研究課題/領域番号 |
24520083
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
小関 武史 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (70313450)
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キーワード | 『百科全書』 / 地理 / 典拠調査 |
研究概要 |
本研究は、『百科全書』の地理関係項目の典拠候補である五つの文献を順次調査するという手法のもとで、段階的に遂行される。 平成25年度には、『トレヴー事典』1743年版および1752年版、モレリ『歴史大事典』1732年版という二種の事典(書目としては二種だが、版本としては三種)について、調査を実施した。 第一の文献(トレヴー)は、単に地理の分野にとどまらず、幅広く『百科全書』によって活用されている。しかし、その利用の仕方は必ずしも網羅的とは言えず、『百科全書』がいかなる基準に基づいて『トレヴー事典』の項目を取捨選択したのか、明確ではない。地理関係項目以外の利用実態も調べてみたが、決定的な仮説を構築するには至っていない。 第二の文献(モレリ)は、歴史を主要なテーマとする事典であるが、地名の記述も豊富に含んでいる。ある段階で、この事典に収録された項目が『百科全書』に取り込まれた形跡をたどることはできたものの、全体としてみれば、むしろモレリは『百科全書』地理項目の主要な典拠ではないらしいという手応えを得た。 平成24年度にある程度の調査を終えたブリュザン・ド・ラ・マルティニエールの『地理大事典』については、一部をフランス国立図書館で電子複製し、常時閲覧できる環境を整えた。 平成26年3月29日には、『百科全書』・啓蒙研究会(慶應義塾大学)において、「地理辞典はどのような知識を伝えようとしていたか」という題目で研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に従って、平成25年度には『トレヴー事典』とモレリの『歴史大事典』を対象として、『百科全書』の地理項目との対応関係が存在するかどうかを調査した。三年で五種類の文献を順次調査するという計画を立てていたが、平成24年度に最初の二つの文献について調査したのに引き続き、平成25年度についても予定通りに次の二つの文献を調査することができた。その一方で、平成26年度以降に行う予定にしていた最後の文献に関する調査を前倒しで実施するほどの余裕は得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
過去二年間にわたって計画通りに研究を進めることができたので、最終年度となる平成26年度についても、同様に文献調査を進める所存である。具体的には、サヴァリーの『通商事典』1748年版の調査を行う。夏期休暇を利用してフランス国立図書館で現物を実見する。さらに、全体の研究成果をまとめるために、必要に応じて追加調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究課題に適合する書物のうち、3月に発行されることが予告されていたものがあったため、その費用を平成26年度に回した。 上記の書物をすみやかに発注することによって使用する。
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