コンディヤックとボネという18世紀の二人の代表的感覚論者が、人間の感覚から知性が発展する過程を分析した内容を比較検討した。そのために、まずコンディヤックの感覚論が変遷を遂げた経緯を跡づけた。次いで、コンディヤックは知性の発展には記号の働きが重要な役割を果たすと考えていたので、彼の記号概念の特質についての研究を行った。一方、博物学者でもあったボネは生理学的視点を取り入れ、脳の神経繊維が網状組織を形成すると想定した。このように両者の探求の特徴を明らかにしつつ、二人の思想の比較研究を進めた。また、パリとジュネーヴで調査を行い、特にコンディヤックによる『人間知識起源論』の改訂のあり方を明らかにした。
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