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2014 年度 実績報告書

精神分析と左翼思想―その接近と断絶をめぐる思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520086
研究機関京都大学

研究代表者

立木 康介  京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (70314250)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード精神分析 / ラカン / 68年5月 / マオイズム / マルクシズム / パス / 国際精神分析協会 / 分派
研究実績の概要

最終年度は、当初の米国調査を中心とした計画を若干変更し、その内実の歴史的な見通しがたさゆえに前年度来いわば積み残されてきたフランス精神分析史の重要な一幕、すなわち、「68年5月」の出来事と完全にシンクロして進められたラカンによる精神分析の「制度改革」(=「パス」の導入)について、1/それが当の「出来事」といかなる関係にあり、2/ラカンがいかなる意図をもってこの改革を推進したのかを、文献と資料にもとづいて実証的に検証することを軸に研究が進められた。その成果は、折よく本研究とほぼ同一のテーマで研究分担者としてかかわることができた京都大学人文科学研究所における共同研究「ヨーロッパ現代思想と政治」の成果報告書に論文として収められる。なお、本プロジェクトのもうひとつの柱である米国精神分析史(第二次世界大戦後に相次いだ分派の歴史的素地の形成過程)については、最終年度も引き続き、1960-70年代にコロンビア大学が実施した精神分析家のオーラルヒストリー調査の記録を閲覧・転記する作業に集中した。このテーマについては、今後も調査を継続し、数年以内に成果をまとめたい。
本プロジェクトの研究期間全体を通じて明らかなったのは、おおよそ次のことである。精神分析の世界では、歴史的に、組織に属するあるメンバーやグループの異質性が問題視されるとき、その解決がしばしば露骨な権力関係の発動を招き、実権を握る人々による政治的決断に委ねられてきた。その不朽のモデルとなったいわゆる「秘密委員会」に端を発する、一部の特権的な人々が教義のオルトドクシーを決定し、そこからの逸脱を監視するというポリティクスは、国際精神分析協会の中枢に受け継がれ、少なくとも1960年代までは温存された。ラカンはある意味でその犠牲となったのであり、それゆえそうしたポリティクスのオルターナティヴを徹底的に追い求めたのだった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] マルクスに回帰するラカン(一九六六-七三)2015

    • 著者名/発表者名
      立木康介
    • 雑誌名

      思想

      巻: 1089号 ページ: 6-22

  • [雑誌論文] Amour en anamorphose - l’amour courtois et l’amour fou, II2014

    • 著者名/発表者名
      Tsuiki, Kosuke
    • 雑誌名

      PSYCHANALYSE

      巻: 30 ページ: 63-79

    • 査読あり
  • [備考] 立木 康介 准教授 業績

    • URL

      http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/zinbun/members/private/tsuiki_list.htm

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公開日: 2016-06-01  

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