研究課題/領域番号 |
24520087
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長 志珠絵 神戸大学, その他の研究科, 教授 (30271399)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 東アジア / 空襲研究 / 空襲の記憶 / 米国戦略爆撃調査団 / 占領下の空襲記録 |
研究概要 |
当該テーマについて最終年度ではシンポジウムを考えているが、日本以外では空襲研究は低調であるため、予備調査が重要であると考えた。なお日本都市部の作業として空襲死者追悼の戦時下占領期の変容についての関心から論考を発表した(『人文学報』104所収)特に本年度では、台湾、韓国でそれぞれ資史料の状況や研究状況についての調査等を行った。韓国では国家図書館での文献調査他、高麗大学校日本学研究所で講演を行った(「空襲研究を東アジア空間で考える」,2012.11.15於高麗大学校)。他文献調査も行い、植民地朝鮮では米軍による空爆(南海等)、機雷投下(釜山等)に加え、ソ連参戦後、羅津や清津などへのソ連軍による空襲が存在した。しかし研究としては戦時下の防空研究として議論されていた(『帝国日本の空と防空動員-防空政策と植民地朝鮮』ハングル、先人社、2012)。また台湾空襲については中央研究院台湾史研究所、国家図書館、台湾大学図書館、228資料館等で史料調査を行った。米軍資料を用いた研究はあるが、戦時下での台湾総督府文書の空襲記録や在台日本人の回想記、4 . 3事件の回想等、戦後史の語りのなかに空襲の記録と記憶が存在することがわかった。この他、日本空襲の記録のあり方と米軍との関係を考えるために、NHKの戦後ラジオや近年でのテレビコンテンツを視聴するプロジェクトに応募、採択された(NHKアーカイブス学術利用トライアル研究関西II審査により採用2012.10~2013.3 研究代表者;長志珠絵 研究課題「NHKアーカイブス所蔵番組からオキュパイド・ジャパンを読み解く―記録と記憶の研究の交差と可能性、http://www.nhk.or.jp/archives/academic/result/kansai2.html)これらも含めその成果は次年度にまとめる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
台湾での調査、韓国では文献調査を行ったうえ、それぞれ現代史研究者と意見交換を行った。また高麗大学校金津日出美氏とは韓国調査、台湾調査でも同行願い、資料や研究状況を確認することで、議論が蓄積され、最終年度でのシンポジウムについての原初的な構想を練ることができた。また思想史文化史研究としては、出来事が起こった事後の問題としてとらえる必要性も明確になり、NHKアーカイブでの番組コンテンツ閲覧等も進んだ。なお謝金等について予定額と異なっている理由は、調査同行費用にふりかえたためである。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度でのシンポジウムとして「東アジア戦後史のなかの空襲研究」(仮)を引き続き準備していくが、このため今年度では準備研究会を主に日本の空襲研究者(米軍資料研究会の工藤洋三氏、空襲研究者の佐々木和子氏)による空襲研究の現状を把握、議論するための研究会として秋に開催する予定である。ほか、空襲記録を占領期から考えるための作業として、米国戦略爆撃調査団に関係する史料を米国NAにて佐々木氏とともに調査収集を行う。夏期休暇中を予定している。また前年度での収集資料および研究動向についての冬の学会報告および活字化を進めるとともに、引き続き、台湾韓国での研究状況の把握のための調査を検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
上記の研究の進捗に照らし、資史料調査及び打ち合わせのための渡航費用や同行者の旅費滞在費謝金、研究会開催のための招請研究者の旅費謝金等を申請する。また史資料収集のための複写費、翻訳及びデータ整理のための費用等を申請する。なお主な物品費としては参考文献等とする。
|